チャイルドシートは何歳まで必要？欧州では12歳、日本は5歳までが義務

加藤久美子

■1. お子さんが6歳になったらチャイルドシートは不要？

日本では2000年4月1日から5歳までの子どもを乗せる場合、チャイルドシートの使用が義務付けられています。しかし、この「5歳」という年齢は他国では例をみない低い年齢です。欧州ではEU指令によって原則としてチャイルドシート（ジュニアシート）は12歳までの使用が義務付けられており、日本とは大きな差があります。中には14歳、18歳という国もあります。

ドイツやイタリア、スイスなど多くの国では12歳という年齢に加えて身長150cmまでは必須としており、タクシーに乗る際にも使用が義務付けられている国も珍しくありません。

では日本ではチャイルドシートの義務年齢を過ぎた6歳からはどうすればいいのでしょうか？

まずは法的な面からみていきましょう。

チャイルドシート使用の義務は6歳からはなくなりますが、代わりに適用されるのがシートベルトの着用義務です。2008年6月1日以降は後部座席にもシートベルト着用が道路交通法改正によって義務化されています。
6歳以降でも助手席はもちろん、後部座席に乗る人含めてクルマに乗る人全員にシートベルト着用義務があります。

では、クルマのシートベルトは年齢や身長などどれくらいから安全に使用できるのでしょうか？
クルマのシートベルトの安全確認は欧州や日本の自動車メーカーでは【身長145～150cmから安全に使える】としています。
欧州や日本の自動車メーカーはどこも、背が低い方はAF05（全女性の5％にあたる身長）という、身長150cmのダミーを使用して安全確認を行っているからです。

クルマによってはシートの高さやシートベルトの高さを調整できるタイプがあり、クーペタイプのクルマでは後部座席ではシートが低く設計されているので身長135－140cm以上で安全にシートベルトが使えるケースもあります。ただし【原則として身長150cm以上】と覚えていてください。実際にお子さんを座らせてみて、肩ベルトが首や顔にかからなければOKです。

■2.小学生が使っても安全なジュニアシートとは？

あまり知られていませんが、チャイルドシートは育児用品やベビー用品、カー用品ではなく、国交省が型式指定を行う「自動車部品」に該当します。他の自動車部品と同様、国連・欧州経済委員会が定めた安全基準を満たしたものだけが日本国内で流通できるのです。

簡単にいうと『Eマーク』がついたもの、ということになります。自動車のガラスにも「E4」などのマークがついていますが、これと同様です。チャイルドシートにも「E1」、「E8」などのマークがついています。ちなみに、EはUN/ECEのことで、あとの数字は認証を受けた国の番号です。

そして現在、流通が許可されているチャイルドシートは【R44/04】または【R129】の認証を受けています。

▲こちらはECE R44/04に適合したチャイルドシートにつけられるラベル。E1の「1」はドイツで認証を受けた製品という意味がある

チャイルドシートには乳児用、幼児用、学童用があります。また、乳児と幼児が兼用（体重13kgまでは後ろ向き、それを過ぎたら前向きで使用）できるものや、幼児と学童が兼用できる（1－12歳頃まで使える）タイプもあります。では、小学生（または身長100cm～150cm）用の安全な学童用ジュニアシートとはどのようなものでしょうか？

■3.安全性が高くて使いやすい最新のジュニアシートは？

以下にご紹介する2つのジュニアシートは、いずれも最新の安全基準R129認証を受けています。ハイバックタイプ（背もたれ付き）＋ISO FIX固定　身長100－150cmまで使用可能。ISO FIX固定なのでクルマの後部座席にあるISO FIXアンカーにガチャっと差し込むだけで確実に固定できます。

シートベルトで固定するジュニアシートは子どもの体＋ジュニアシートを1本のシートベルトで同時に固定するものが主流ですが、実際、取付状態や子供の着座姿勢が乱れると危険です。ベルトを長くのばしたり、ベルトを引っ張って子どもが抜け出したり、危険な角度までリクライニングしたり…なので、これから購入するならISO FIX固定で身長150cmまで使える背もたれ付きをお勧めします。

▲欧州の多くの自動車メーカーが純正採用しているブリタックス・レーマーのジュニアシート『KIDFIX Isize』。レーマー史上最も安全なジュニアシートで最新のR129に適合。身長：100cmから150cm、対象年齢：3歳半～12歳頃まで使用可能。ISOFIX固定とシートベルト固定いずれの方法でも固定できる

ジョイトリップアドバンス ISOFIX エッグショック SA 身長76～150cm、1歳～11歳頃まで使えるロングユースタイプの幼児・学童兼用チャイルドシート

＊ECE R44/04認定　ブースターシート（背もたれ無し）＋ベルト固定　体重36㎏くらいまで使用

ジュニアシートというとこのタイプを思い浮かべる人が多いかもしれません。座る位置をかさ上げすることでクルマのシートベルトが安全に使えるようになります。

しかし、この背もたれなしのジュニアシートは、2017年2月9日より安全基準が変わって、身長125cm、体重22kgを超えてからの使用が義務付けられました。それ以前に認証を得た製品は現在も「3歳、15kg以上で使用可」と記載されていますが、安全上はあまりおすすめできません。万が一の事故の際にお子様を確実に守るためには【125cm、22kgまでは背もたれのあるジュニアシート】を使ってください。

背もたれなしのジュニアシートは着座姿勢が乱れやすく、腰ベルトが子どものおなかにかかることが良くあります。実際に体格が小さいのに背もたれなしのジュニアシートを使っていて事故に遭い、おなかにかかった腰ベルトによって内臓が圧迫され亡くなった5歳のお子さんもいます。

また、シートベルトが首にかかった状態でクルマが横転し肩ベルトが子どもの頸動脈を切断して即死した例もあります。多少値段は高くても大切な我が子の命を守ることを考えて、どうか体格にしっかり合致した安全性の高いチャイルドシートを使ってください。