更新2022.10.22
アメ車に市民権はないのか?20年落ちのアメ車と新車の軽自動車を乗り比べてみた!
Mt.T
車がその人の個性を表現し、モテルための道具だった時代は遥か昔、2015年もすでにハロウィンの季節に。
昨今ではハイブリッドや電気自動車が重宝され、気がつけば街で見かけるのはプリウスやアクアばかりかと感じるほど。
そんなご時勢、好きでアメ車に乗っている向きにはなかなか肩身の狭い思いをされている方も多いはずです。
そこで、アメ車に心底傾倒している筆者は、日本を代表する省エネルギーカーである軽自動車と、20年落ちのアメ車の違いを検証してみようと考えました。
果たして、最新の軽自動車どれだけすごいのか、もはやアメ車に乗る意味など無いのか。
むしろアメ車には市民権はないのか?・・・そんなところをみなさんと一緒に明らかにしてみましょう。
と、その前に一つ、最初にお伝えしなくてはならないのは、筆者は22歳で初めて購入した愛車から現在までの15年間、アメ車しか所有しておりません。
70年代から2000年のモデルまで、その数6台。台数は多いとは言えませんが、一台を長くじっくり楽しむスタイルです。
現在はちょうど20年落ちになろうかというフルサイズのピックアップトラックを毎日の通勤車として使用し、5年目に突入しました。
はじめにお断りしておくと、この検証はアメ車マニア寄りの目線です。
職業柄、ヨーロッパ車や日本車、最新のモデルから旧車に至るまで、さまざまなモデルに乗る機会があります。
その経験を踏まえつつ、できるだけフラットな目線で考察してみたいと思います。
■比較車両
●東横綱:アメ車代表 シボレーK1500(1996年型)
1988年から販売された第4世代に当たるシボレーのフルサイズピックアップトラック。
日本でも1990年代後半に大ブレイクしたタホやサバーバンと基本的な車台は共通となる。
主にV8の5.7Lエンジンを搭載したモデルが日本の市場では大半を占める。
昨今は、数も減少しつつあり、一部のマニアが乗り続けている。後継車種にバトンタッチしたが、アメ車らしいトルクフルなエンジン味わうことができるのはこの世代までと言える。
●西小結:軽自動車代表 スズキワゴンR(新車 2015年型)
言わずと知れた、国産軽自動車販売台数ランキングでは常に上位に食い込む人気車種。
初代誕生当時は、初めての軽自動車トールワゴンとして、革命を起こしたと言っても過言ではないモデル。
このカテゴリーを作ったまさに先駆者的存在。
今なおその人気は高い。
現在は5世代目となり、最新型ではS-エネチャージと呼ばれるハイブリッドモデルもある。
■1.ボディサイズ、車内空間
まずは、誰もが一目で気になる圧倒的な違いはそのボディーサイズ。
さすが横綱、全長はもう少しで6mに近づきそうな5.8m、そして堂々たる全幅は約2m。
一般的なサイズの駐車場では、フロントタイヤから前が枠からはみだします。
駐車場に停めて用を済ませて車に戻ると、「大きすぎて迷惑なので次からは止めないでください。」と注意されたことも記憶に新しいです。
とにかく大きいし、4WDのせいで小回りも効かない、実に不便なサイズです。
Uターンするには4車線では足りず、切り替えしが必要になるといえば、ご想像しやすいかと。
その分、車内は広く、ベンコラ(ベンチシート&コラムシフト)によりもたらされる横並び3人乗車は魅力的。
リアシートは、エクストラポジションですからレッグスペースは広いとはいえませんが、横方向はゆったりで、しっかり6人乗車が可能です。
ちなみに、トラックですから、リアのカーゴスペースは幅1.5m×奥行き2mが確保でき、引越しからレジャーまで活躍してくれますよ。
一方、最新の軽自動車代表のワゴンRは、全長3.4m、全幅1.5mと非常にコンパクト。
並べると倍以上大きさが違うのではないかというくらいのインパクトを受けますね。
そのサイズから、取り回しのよさや、駐車スペースに困らないのはとても重宝。
都心でもらくらくで、室内空間も驚くほどに広々快適。
定員の4名乗車でも窮屈さを感じさせないのは、やはり一昔前の軽自動車とはまた一線を画すといえるかもしれません。
4人乗車でも最低限のラゲッジエリアは確保されていますので、日常の買い物や、ちょっとした遠出にも重宝しますね。
■2.エンジン、燃費、環境性能
ボディーサイズが違えば、当然エンジンだって違います。
日本の軽自動車は規格上、660cc上限の設定となりますので、ワゴンRの排気量は658cc。
加給機なしのNAエンジンで最高出力は52ps/6500rpm、最大トルク6.4kgm/4000rpm。
レギュラーガソリン仕様でカタログ燃費は33km/l(JC08モード)にもおよびます。
なんとこの数値、プリウスの30.2km/lを3km/l近く上回っています!恐るべし軽自動車の燃費性能。
S-エネチャージと呼ばれるハイブリッドシステムも貢献。
なんと発電機(オルタネーター)にアシストモーターの機能も持たせているそうです。すごい!
テストドライブでも、なんの不満もなく交通の流れに乗って走行可能。
普段は、2000~3000rpmくらいで十分走りますし、5000rpmオーバーまで回せばかなり速いです。
NAの軽自動車でもここまでいけるかと感心させられます。
アイドリングストップ機能も進化しており、意識することなくエンジン停止と始動が制御されています。
欲を言えば、完全停車する前にエンジンストップするのはちょっと精神衛生上あまりよくないと感じますけどね。
さて、お待ちかねアメ車代表、20年落ち、鋳鉄ブロックのOHV5733ccが生み出すのは最高出力253.5ps/4600rpm、最大トルク46.3kgm/2800rpm。
排気量に恥じない数値ではありますが、昨今の大排気量モデルと比べればその数値は半分程度に過ぎません。
パワーウェイトレシオ7.69kg/psは、957カイエン(初代の後期モデル)のV6カイエンと同じで、まあ平凡な値。
しかし、加速や車の動きを左右するトルクウェイトレシオにおいては、42.1kg/kgmと、ホンダが誇る国産スーパースポーツNSX typeSの42.6kg/kgmを上回るほどです。
何この数値?「そりゃシグナルスタートで国産スポーツカーと張り合える」わけですよね。
この巨体でこの加速、面白いわけがないと思いませんか?
ただし、いつもそんな走りをしていたらいくら燃料入れても足りません(笑)。
ちなみに当時のカタログから、高速と一般道の平均燃費を割り出すと5.95km/l程度。
同じ1Lのガソリンで、ワゴンRの18%の距離しか走ることが出来ないのです。これでは、環境性能も悪いに決まっています。
ちなみに、先日給油したときの画像ですが、なんと90L以上の燃料が入ります。
これだけの量を給油していると、隣のレーンの車は確実に入れ替わりますね…。
でも、このサイズでこの走り、ちょっと惚れるのも理解していただけますよね。
■3.安全性
やはり皆さん車選びで気になるのはその安全性能ですよね。
昨今はレーダーブレーキやレーンキープなどのプレセーフシステムが普及しており、その安全性能も飛躍的に向上したように感じられます。
しかし、まだまだその安全性能に人間が介在すべき部分は多くあり、100%の安全性とは言えません。
そこで、次に重視されるのが万が一の時の乗員保護機能。
つまりエアバッグや衝突安全ボディーがそれに当たります。
ワゴンRは、最新の安全基準でも普通車には劣りますが、5つ星満点の内4つ星を獲得。
まずまずと言えるのではないでしょうか。
一方、すでに20年が経過するK1500の時代とは、基準が異なるため単純な比較はできませんが、当時のデータを見ると運転席は5点中4点、横転やサイドインパクトは満点となっています。
一般的に運動エネルギーは1/2mv^2(ニブンノイチエムブイジジョウ)であらわすように、同じ速度であれば重い方がエネルギーは大きいのです。
つまり、重い車と軽い車が衝突すれば、エネルギーの小さい軽い車の方が跳ね飛ばされてしまうということになります。
いくら安全対策が強化されていても、大きく跳ね飛ばされてしまうと乗員への影響は計り知れません。
そういった面では、大きくて重いアメ車はこの点では有利なのかもしれません。
■4.トラブル、ランニングコスト
この点においては、いうまでもなくワゴンRの勝利です。
ですが、せっかくこの検証をしている意味がありませんので、細かく見ていきましょう。
まず一つ、トラブル、故障についてです。
ワゴンRは新車ですから、3年から5年は何の心配もなく安心してお乗りいただけますね。
部位によっては10年保障などもあるのかもしれません。
一方、K1500はすでに20年選手。
どんなに高級車だろうが、当時の最新技術だろうが、20年たって故障が出ないわけがありません。
しかし、この5年、私が交換したのは、プラグなどの点火系、ブレーキパッド、それからラジエーター位です。
当然、エンジンオイルは定期的に交換していますが、ここ強調したいところです。
なんと、5.7Lもの排気量にも関わらず、オイル交換時はフィルターなしで4Lしかオイル使いません。
ワゴンRが2.7Lですから、オイル代はそれほど開きがないと言えますよね。
トラックですから、オイルも一番安いもので大丈夫。
私は量販店の4L缶で1980円のオイルです。
維持費における大きな違いは自動車税ですね。
毎年都道府県から、楽しいウキウキのGW中に封書が届く「あれ」です。
軽自動車は8000円、環境性能に優れていると免税や減税制度があります。
一方、古い車に対しては重課され、15%増となります。
本来、K1500は排気量でいうと88,000円に、年式で15%重課ですから、101,200円が年税額となります。
しかし、天は見捨てず、貨物車(トラック)の場合は総重量で判断されますので15%増しでも18,400円。
ただし、貨物登録にすると毎年車検になりますが。
荷台に夢と希望を載せた自家用普通貨物車は、アメ車の魅力を最小限のランニングコストで楽しむことの出来る夢の車なのです!
5.まとめ
以上の検証結果から言えることは、20年落ちのアメ車は、意外とランニングコストをかけずに乗っていく方法があるということです。
そして軽自動車にもアメ車にもそれぞれ利点があって、そのいいところがどれだけ自分のライフスタイルに合っているかが選択ポイントになると思うのです。
少しでもアメ車に興味があって、少しでも環境が許すのであれば、ぜひアメ車をおススメしたします。
そう、アメ車は乗って使ってなんぼの車なのです。
ぜひこの大陸的大らかさ満載の、動く文化遺産を楽しんでください。
お困りの際には、どうぞお気軽にお声かけくださいね。
取材協力: 株式会社エイブル http://www.able1.jp/
[ライター/Mr.T]