ライフスタイル
更新2018.04.10
文化が違えばクルマも異なる。ドバイを走るクルマたちを見てみよう
JUN MASUDA
なぜなら、まったく言語も価値観も異なる分化に触れ、それを受け入れることで新しい自分自身になれるような気がするからだ。
とにかく多いスーパーカー
クルマはその国の価値観を表現するとも言われるが、その意味でもボクはその国を走るクルマが気になる。気になって仕方がない。
そこで、今回はドバイを走るクルマたちを紹介することにしよう。
ドバイというと、真っ先に思い浮かぶのは「スーパーカー」や「高級車」だろう。
そのイメージには間違いはない。
とにかくランボルギーニやフェラーリが多く、いたるところを走っている。
その数はおそらくポルシェよりも多い。
どんなところにスーパーカーがいるのか?
ドバイはクルマで移動することを前提にインフラが整備されている。
鉄道(メトロ)はあるが、これの利用者は少なく、基本的にクルマで移動することになる。
そして道路はご覧の通り広く走りやすい。
信号はほとんどなく、右左折は側道に入ってから曲がって行うことになるが、そのためにメインの車道は信号がほとんどなく、非常に高い速度で車が流れる。
よって、スーパーカーが走っていたとしても、それを見てカメラを取り出してももう遅い。
あっという間にスーパーカーが通り過ぎてしまうからだ。
そういった理由があり、道路を走るレアなスーパーカーをたくさん見かけたにもかかわらず、実際に画像として記録できたクルマが少ないことを残念に思う。
ただし、ドバイには多くの高級ショッピングセンターや、高級ホテルがある。
それらの前に行けば、心ゆくまでスーパーカーを見ることができるため、もしドバイでスーパーカーや高級車を見たいのであれば、それらの施設を訪れることがオススメだ。
ドバイに一番多いボディタイプは?
ざっと見た印象だと、SUVが最も多いようだ。
逆にセダンは少なく、コンパクトカー、ワゴンボディは皆無に近い。
ドバイでは小さいクルマは好まれず、逆に大きい高級車が好まれるようだが、現地の人々は高級セダンよりも高級SUVを選んでいるようだ。
SUVが好まれるのは「見栄え」のほか、悪路も多いドバイならではの道路事情もあると思われるものの、このあたりは世界的な傾向と一致しており、各自動車メーカーが競って高級SUVを発売する理由でもあるだろう。
あと1年ほどすれば、ドバイはランボルギーニ・ウルスや、ロールスロイス・カリナン、新型メルセデス・ベンツGクラスで溢れかえっているものと思われる。
ベントレー・ベンテイガ、メルセデス・ベンツGクラス、レンジローバー各モデル、ポルシェ・カイエン、そしてキャデラックやリンカーンのSUVも多い。
日本車だとトヨタ・ランドクルーザーが圧倒的に多く、次いで日産、三菱製SUVといった感じだ。
ホンダやスバルのSUVはまったくと言っていいほど見ることはなかった。
価格帯からしてフォルクスワーゲンはドバイの人々にとって「安すぎる」ために走っていないのだろうと想像するが、アウディ製SUV勢が非常に少ないのが印象的で、アウディはドバイ市場ではずいぶん遅れをとっているという印象だ。
そして意外に多いのがトラックだ。
ドバイとトラックというのは意外な組み合わせだが、その理由はすぐに判明する。
そう、彼らは荷台に(砂漠で楽しむための)バギーや、ジェットスキーを荷台に載せるといいう、トラックにしかできない使い方をしているのだ。
このトラックは「フォード」が圧倒的に多い。
ドバイに多い自動車メーカーは?
上で「リンカーン」「フォード」に触れたが、ドバイにはじつにアメ車が多い。
これには驚かされたが、フォード・マスタング、シボレー・カマロ/コルベット、ダッジ・チャレンジャーといったポニーカー、マッスルカーがたくさん走っている。
つまりドバイの人々はアメ車を好むが、それは「トラック」「SUV」「スポーツカー」「スポーツクーペ」で、アメリカンブランドのミニバンやセダンはほぼ見かけない。
ドバイのカスタムカーはこんな感じだ
ドバイにはカスタムカーも多い。
よくドバイのカスタムカーがネットを賑わせていて、たしかにドバイの人々はカスタムが好きなようだ。
ただし、ドバイの人々はクルマや、それを作ったメーカーのことをよく理解しているように思う。
たとえばアメリカ車だと、アメリカや、そのメーカーのヘリテージを重視したカスタムを行っている。
フォードであればガルフカラーやダブルストライプを用いる、といった具合だ。
日産車であればニスモのパーツを装着したり、R32GT-Rの場合はオリジナルを尊重し無改造で、しかしメンテナンスの行き届いた状態で乗っている。
オリジナルへ敬意を払い、カスタムする際にはそのメーカーやクルマと無関係なカスタムを行うことは少なく、つまり彼らはそのクルマの背景にあるものをリスペクトしているということがよくわかる。
彼らは「トラックを運搬用として使う」という実用的なクルマの選び方をしながらも、スポーツカーやスーパーカーを購入し、そのメーカーの歴史にマッチしたカスタムを行うという一面も持っているわけだ。
「モノを運ぶならこのクルマ」「カスタムするならこのクルマ」といったように、その目的に見合ったクルマを選ぶ、確かな目を持っているのがドバイのクルマ人なのかもしれない。
一方でこんなクルマも走っている
こちらはリムジンだ。
その長さは比類ないが、これも道路が広く走りやすいドバイならではだろう。
セダンは少ないもののリムジンは多く見られ、これは観光客用としての車両が走っていることも関係しているのだろう。
リンカーンが多いのもドバイの特徴だ。
ボクは中国とアメリカ、そしてドバイ以外の国ではリンカーンを見たことがない。
そしてリンカーンの独特なルックスは、ドバイというエキゾチックな街によく似合う。
時にはこういったカスタムカラーのクルマも見かけた。
ブルー、パープル、ピンクといったカラーも比較的好まれるようだ。
ドバイのパトカーはホワイトにグリーンのカラーリングとなる。
ドバイ警察というと、ランボルギーニ・アヴェンタドールやブガッティ・ヴェイロン、フェラーリFF、シボレー・カマロといったハイパフォーマンスカーを揃えることで知られている。
ドバイ警察に電話し、「警察署に行けばそれらのクルマを見ることができるか」と訪ねたが、それらのパトカーについて、どこにあるのかは非公開だそうだ。
以上がボクがドバイで見たクルマ(の一部)だが、意外と無茶な改造やカスタムを施したクルマは少ない。
上でも触れたとおり、いずれもメーカーやブランドの歴史を反映したカスタム、そうでなくともうまくカラーをまとめたカスタムが多く、「手練が多い」という印象だ。
そしてそもそもクルマを選ぶにしても、しっかりとした目的をもってクルマを選んでいるように思える。
ここまでクルマを理解し、そして愛している人々がいる場所は世界中を探してもそうそうないだろう。
[ライター・撮影/JUN MASUDA]