更新2025.02.28
クルマの名義変更はどのくらいの期間でできる?手続きの期限・手順を解説
外車王SOKEN編集部
クルマの名義変更手続きをしたいがどのくらいの期間で完了できるのか、気になっている方は多いでしょう。名義変更を行う運輸支局は平日の日中しか窓口があいていないため、スケジュール調整をするためにも、手続きにかかる期間は事前に把握しておきたいものです。
この記事では、クルマの名義変更にかかる期間や手順、法律で定められている期限について詳しく解説していきます。
【ケース別】クルマの名義変更にかかる期間
クルマの名義変更と一口にいっても、実施する理由はさまざまです。また、状況に応じて手続きにかかる期間も異なります。ここでは、ケース別にクルマの名義変更の手続き期間の目安について解説します。
クルマの売買・譲渡
クルマの売買や譲渡を行う際に名義変更が必要です。買取業者への売却だけではなく、個人間での売買、家族や親族間での譲渡も含まれます。なお、親から子へ譲渡する場合でも、同居している場合であっても名義変更は必要です。
手続きに要する期間は、必要書類の取得から完了まで1日〜1週間程度です。あらかじめ役所で印鑑証明を発行しておく必要がありますが、すでに印鑑を登録しているのであればその日中に取得できます。その足で運輸支局に出向けば、1日で名義変更は完了するでしょう。
ただし、車庫証明が必要な場合は1週間程度かかる場合があります。名義変更によってクルマの保管場所が変わるのであれば、車庫証明を取得しなければなりません。車庫証明は、申請から取得まで3日〜1週間程度かかり、その後に運輸支局で名義変更を行います。
運輸支局での手続き時間は1時間程度です。しかし、月末や年度末などの繁忙期は2時間以上かかることもあるため、時間に余裕を持って訪問しましょう。
クルマの相続
クルマの所有者が亡くなった場合相続人へ名義変更する必要があり、手続き完了までに1ヶ月程度かかります。
一般的な名義変更と異なり、相続手続きの一環として行うため、戸籍謄本や遺産分割協議書など追加で複数の書類を用意しなければなりません。相続人が複数いる場合には、まず遺産の分配を決める協議を行います。そのうえで「遺産分割協議書」に、相続人全員の実印で捺印します。この準備にかなりの時間がかかるため、どうしても名義変更完了までに1ヶ月程度かかってしまうのです。
ローン完済後の所有権移転
クルマのローンを組んでいる場合、名義が信販会社やディーラーであることがほとんどです。ローンの完済後に、使用者への名義変更の手続きを行う必要があります。
名義を変えるには、まず信販会社やディーラーに所有権解除の手続きをしてもらわなければならず、10日〜2週間程度の時間がかかります。
クルマの名義変更の期限
クルマの名義変更手続きは、法律によって期限が設けられています。
道路運送車両法第13条にて定められている期限は、所有者の変更があった日から15日以内です。買取業者への売却、個人間売買、家族や親族からの譲渡、相続など、所有者が変わる全てのケースに適用されます。
期限を過ぎてしまうと50万円以下の罰金が科される可能性があるため、新所有者が決まったら速やかに手続きを行いましょう。なお、罰則が科される以外にも名義変更しないまま放置しておくと、以下のようなリスクが発生しかねません。
・自動車税の納税通知書が前所有者に届いてしまい、新所有者が納税できない
・自賠責保険の更新案内が届かず、気づかないうちに保険が切れてしまう可能性がある
・クルマのリコール情報が前所有者に届き、重要な整備情報を受け取れない
・交通違反の通知が前所有者に届いてしまう
クルマの名義変更に必要な書類と手続きの流れ
クルマの名義変更をスムーズに行うためには、必要書類を漏れなく準備し、正しい手順で手続きを進める必要があります。普通車と軽自動車では必要書類や手続き先が異なるため、それぞれの違いを把握しておきましょう。
名義変更の必要書類
クルマの名義変更に必要な書類は以下の通りです。
買取業者への売却
普通車 | 軽自動車 |
・車検証 ・印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内 ・実印 ・自動車税納税証明書 ・自賠責保険証 ・リサイクル券 ・委任状 ・譲渡証明書 | ・車検証 ・印鑑 ※認印でも可 ・軽自動車税納税証明書 ・自賠責保険証 ・リサイクル券 |
名義変更だけではなく、売却手続きに必要な書類も含まれています。なお、委任状と譲渡証明書は基本的に買取業者側が用意してくれます。自分で用意する場合には、国土交通省のWebサイトで公開されているフォーマットを使用しましょう。
個人間の売買・家族や親族間での譲渡
普通車 | 軽自動車 |
<前所有者が用意する書類> ・車検証 ・印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内 ・実印 ・委任状 ・譲渡証明書
<新所有者が用意する書類> ・印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内 ・実印 ・車庫証明 ※使用の本拠の位置が変わる場合のみ、発行から1ヶ月以内 ・実車※使用の本拠の位置が変わる場合のみ ・手数料納付書 ・自動車税申告書 | <前所有者が用意する書類> ・車検証 ・印鑑 ※認印可
<新所有者が用意する書類> ・住所を証明する書類(住民票の写しor印鑑証明書) ※発行から3ヶ月以内 ・印鑑 ※認印可 ・申請依頼書 ・ナンバープレート ※使用の本拠の位置が変わる場合のみ ・自動車検査証記入申請書 ・軽自動車税申告書 |
普通車の場合は、事前に用意する書類が多く、印鑑証明書や車庫証明など有効期限が設けられているものもあるので気をつけましょう。委任状と譲渡証明書は国土交通省のWebサイトからフォーマットをダウンロードできます。
手数料納付書と自動車税申告書については、当日窓口で入手可能です。なお、普通車の名義変更は管轄の運輸支局で行います。
軽自動車は、普通車と比べて必要な書類が少ないです。申請依頼書は軽自動車検査協会のWebサイトからフォーマットをダウンロードできます。
▼軽自動車検査協会が提供しているフォーマット
申請依頼書
なお、軽自動車の名義変更は、軽自動車検査協会の事務所で行います。
相続
普通車 | 軽自動車 |
・除籍謄本 ・改製原戸籍 ・遺産分割協議書 ※クルマの査定価格が100万円以下の場合は遺産分割協議申立書+価格が100万円以下である証明書 ・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内) ・実印 ・車検証 ・車庫証明 ※相続人の住所が車検証に記載の本拠の位置と異なる場合のみ ・実車 ※使用の本拠の位置が変わる場合のみ
※相続人が1人の場合の必要書類です。 | ・除籍謄本 ・住民票 ・印鑑 ※認印可 ・車検証 ・ナンバープレート※使用の本拠の位置が変わる場合のみ ・軽自動車税申告書 ・自動車検査証記入申請書 |
相続の場合は、除籍謄本や遺産分割協議書などの追加書類が必要です。用意するまでに時間がかかるほか、記述内容が複雑なものもあるため、不明点がある場合は法律の専門家である弁護士や行政書士に相談しましょう。
ローン完済後の所有権移転
普通車 | 軽自動車 |
<信販会社・ディーラーに用意してもらう書類> ・完済証明書 ・印鑑証明書 ・委任状 ・譲渡証明書
<新所有者が用意する書類> ・車検証 ・印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内 ・実印 ・所有権解除依頼書 ・自動車税納税証明書 ・実車 ※使用の本拠の位置が変わる場合のみ | <信販会社・ディーラーに用意してもらう書類> ・完済証明書 ・印鑑証明書 ・委任状 ・譲渡証明書
<新所有者が用意する書類> ・車検証 ・住所を証明する書類(住民票の写しor印鑑証明書) ※発行から3ヶ月以内 ・印鑑 ※認印可 ・ナンバープレート ※使用の本拠の位置が変わる場合のみ ・自動車検査証記入申請書 ・軽自動車税申告書 |
ローン完済後の所有権移転は手続きが複雑です。まず、完済証明書を送ってもらうように信販会社・ディーラーに依頼します。完済証明書が届いたら、信販会社・ディーラーに所有権移転を希望している旨を連絡し、必要書類を指定の住所へ送付します。
信販会社・ディーラーで所有権の解除手続きが終わった後に、印鑑証明書や委任状、譲渡証明書が送られてくるため、それらを持って運輸支局に出向きましょう。
名義変更手続きの手順
続いて名義変更の手順について解説します。なお、状況によって対応事項が追加される場合もあることに留意してください。
1. 必要書類の準備
事前に準備できる書類を用意します。印鑑証明書は自治体の役所にて、車庫証明は警察署にて取得します。相続の場合は除籍謄本や改製原戸籍など、特別な書類も必要なため、スケジュールに余裕をもって用意しましょう。なお、印鑑証明書は1通300円程度、車庫証明は2000円程度の取得費用がかかります。
2. 運輸支局での手続き
必要書類を持参し、運輸支局で手続きを行います。手数料納付書と自動車税申告書は窓口で入手できます。名義変更にかかる費用は、移転登録料が500円、申請書の用紙代が100円、また、ナンバープレートの変更が必要な場合は別途2,500円程度がかかります。
3. 自動車税の手続き
運輸支局内にある自動車税事務所で、自動車税の申告手続きを行います。環境性能割(旧:自動車取得税)が課税される場合は、ここで納付します。
4. 保険の名義変更
任意保険の名義変更手続きも忘れずに行います。これを怠ると、事故発生時に保険が適用されない可能性があります。
まとめ
名義変更は、クルマの所有者が変更になってから15日以内に完了させなければならない手続きです。期限を過ぎてしまうと50万円以下の罰金のリスクがあるだけでなく、さまざまな実務的なトラブルを引き起こす可能性があります。
手続きを確実に完了させるために、必要書類を早めに用意し、手続き手順をあらかじめ把握しておきましょう。
なお、名義変更の手続きは、手続きに不安のある方や時間的な余裕がない場合は、専門家に依頼できます。有料で請け負ってくれる販売店やディーラーもあるため、1人での手続きに自身がない方は利用を検討してみましょう。