ライフスタイル
更新2020.12.12
愛車を持つ20代のクルマ好きが「カーシェア」を実体験して思うこと
長尾孟大
従来のレンタカーのように、店舗の営業時間に縛られることなく、自由な時間帯で借りることができる。さらに個人間のカーシェアでは、多くのレンタカーには設定がない旧いクルマやスポーツカーなどを借りることができるのも魅力のひとつだ。
今回は、「カーシェア」についてディープなクルマ好きの1人として見解を述べたいと思う。
■いちクルマ好きとしては、カーシェアに対しては否定的ではなくむしろ肯定的
カーシェアは、個人がクルマを所有しない方向へとシフトしている(させている?)サービスのように感じるかもしれない。しかし、クルマ好きの私としてはむしろカーシェアにこそ意義があると感じている。
なぜなら、カーシェアは気軽にクルマに触れる貴重な接点を生み出してくれるからだ。
私自身、クルマを所有しているからこそ得られた体験や、人とのつながりを存分に享受することができているように思う。私と同世代の20代はもちろん、より多くの方にクルマを所有することで得られる体験を味わっていただきたいと願い、行動に移している。
現在、よりクルマを楽しむムーブメントが起きるように“Carkichi”で情報発信を行っているが、クルマを気軽に触れる機会が世の中に非常に少ないのも事実だ。
まして東京都内、特に23区内では、仮にクルマが好きであっても資金的なハードルだけでなく駐車場が見つからない…等々、所有する難易度が異常に高いことも事実だ。
そのような事情がある方にとっては、クルマをドライブできる手段としてとても良いと思っている。
また貸し出す側にとっても、クルマを維持する上で必要な駐車場代・税金等を捻出できる等メリットはあるのだ。
また、私のようなクルマを所有するクルマ好きでも、普段乗ることができない希少なクルマ・運転してみたいクルマ等を個人間カーシェアで借りてドライブしている方もいるようだ。
■カーシェアに対する同世代(20代)の反応は?
私の友人にもカーシェアを使っている人は多い。
たとえば引っ越し直後にIKEAやコストコに買い物に行くための「日常使い」といったケースだ。また、クルマは好きだが、現時点では金銭的に所有することが厳しく、気分転換の目的で夜中のドライブのために借りる友人もいる。
その一方で、個人間カーシェアで心配なのが、トラブルの対応だろう。
私は個人間カーシェアのコミュニティに所属しているのだが、貸し出している側の方も、最初はトラブルがとても心配だったという。しかし意外にも、貸し渡しの際にしっかりとコミュニケーションをとっていればトラブルは起きにくいようだ。
なかには、同世代同士で仕事と無関係な交友関係をつくるために個人間カーシェアを活用している方もいる。
■カーシェアが普及することで「クルマを所有すること」はなくならないと信じたい…
現在におけるクルマを、昔のように「デートに必須のアイテム」や「運転そのものを楽しむ手段」として認識する若者はめっきり減ってしまったように感じている。クルマを所有すること自体にこだわりをもたなくなり、カーシェアを柔軟に受け入れ活用している若者が多いようだ。
しかし、カーシェアが普及することにより、クルマを所有する行為そのものが完全に駆逐されてしまうわけではないと考えている。例えば地方ではクルマは生活必需品だ。クルマを所有していないと日常の移動や生活に支障をきたす地域も少なくない。その結果、カーシェアを行うための土壌が形成されていないという現実もある。
都市部でこそ金銭的な問題・駐車場の問題でカーシェアは必要だが、だからといってクルマがすべてカーシェアだけになるとは思わない。
また私のような一部のクルマ好きは、たとえ都市部に住んでいたとしても、無理をしてでも自分のクルマを所有し続ける(または所有していたい)と思う。
■今後のカーシェアに求められることとは?
カーシェアには賛否両論あるが、個人的にはクルマとの接点を築くうえカーシェアは非常に有効だと考えている。
もちろん、カーシェアはまだまだ発展途上・過渡期のサービスであり、構造上脆弱な部分もあり、多かれ少なかれトラブルが起きることは避けられない状況かもしれない。そのため、カーシェアはトラブルを乗り越えつつ改善を重ねる必要があるだろう。
そのうえで、カーシェアは人にクルマに興味を持つきっかけを提供し、所有することでしか得られないカーライフの楽しに気づかせてくれるだろう。気が向いたときにふらっと行きたい場所に行ける楽しさ、クルマを通じて人と知り合い語り合う喜び、自分だけのクルマに抱く愛着…。
利用者にはクルマを気軽に乗れる利点だけでなく、クルマに付随する様々な体験の価値もカーシェアを通して感じてほしいと思っている。
■まとめ
私たち、20代の世代は、バブル世代の方たちようにはっきり世俗的な何かに対する「憧れ」を抱く人間は少ない。「いつかはクラウン」というような価値観は通じないし、メルセデス・ベンツをはじめとする欧州車に乗りたい人も(聞く限りではバブル期よりも)少数派だ。腕時計にしても、ロレックスを買いたいと思う人は極めて稀だ。なぜならコストパフォーマンスに優れていることが重要視されるからだ。
しかし、こだわりがまったくないわけではない。自分の好きなこととは何か、自分のやりたいこととは何なのか。各々が個のこだわりと向き合う時代なのだと思う。だから今の若者は周囲の目ではなく、自分が本当に欲しいモノ、合理的で必要なモノを買う傾向がある。
だからこそ、今後は「クルマを所有することならではの楽しさ」「クルマが在ることでライフスタイルが変わる」といった、クルマに付随する体験価値を重視した情報発信やブランディングにシフトしていくことが、市場を拡大するうえでとても大切なことではないかと考えている。
そして私たちCarkichiも、そういった価値を発信するために尽力していきたい所存だ。
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[ライター・カメラ/長尾 孟大]