更新2024.08.22
自動車の個人売買の手順とは?メリットやデメリットも含めて解説
外車王SOKEN編集部
クルマの個人売買は、中古車市場で手に入らないクルマをお得に手に入れるチャンスである一方で、ほかの売買方法と比べてリスクが高い方法とされています。各手順を理解することに加え、注意点についても確認しておきましょう。
この記事では、個人売買の具体的な手順をはじめ、個人売買のメリットとデメリット、起こり得るトラブルまで詳しく解説します。
クルマの個人売買の方法
クルマの個人売買の方法を解説します。ひと言でクルマの個人売買といっても、さまざまな方法があります。
フリマやオークションを利用する
フリマサイトやオークションを利用して売買する方法では、売主または買主が価格を決めることができます。また、売主と買主の間に業者が入らないため、中間マージンがかかりません。買主はクルマをお得に買える可能性が高くなり、売主は高く売れる場合があります。
知人と直接売買する
知人や友人などと直接売買する方法の場合、価格交渉がしやすく、ある程度の信頼があるため、柔軟な対応に期待できます。ただし、クルマによっては数百万円単位の金銭の授受が発生するため、どれだけ信頼していたとしても、手続きや受け渡し、支払方法などについては細かく取り決めておきましょう。
クルマの個人売買の流れ
クルマの個人売買は、売買契約だけでなく、名義変更や保険の手続きなど、事務手続きまですべて自分たちで行わなければなりません。ここでは、クルマの個人売買のおおよその流れを解説します。
1.売却先・購入先の決定
売主はクルマを売却する相手を、買主はクルマを誰から購入するかを決めます。オークションは売る相手を選べませんが、知人や友人は選ぶことができます。相手を選べる場合には、相手の情報や信頼性なども確認しておきましょう。
どれだけ信頼している知人や友人から紹介された人物であっても、素性を知らない人物との取引は大きなリスクを伴います。また、知人や友人でも、素行が悪い、金銭トラブルがあるなどの噂がある場合は要注意です。
2.売買契約書を締結する
相手が決まったら、売買契約を締結します。このときに売買契約書を作成し、事務手続きの分担や手続きに関する費用負担、引き渡しの日程なども契約書に書いておくとトラブル防止につながります。
3.車輌の引き渡し・代金の支払い
売買契約書を取り交わしたら、車輌の引き渡し、代金の支払い・受け取りを行います。個々で合意した方法で支払いを行いますが、車輌の引き渡しと同時に現金を手渡しする、目の前で銀行振込するなど、確実に代金を授受できる方法で実施すると安心でしょう。
4.名義変更をする
クルマの引き渡しと代金の授受を終えたら名義変更をします。名義変更手続きは管轄の運輸局または軽自動車検査協会で行います。中には、名義変更を忘れてしまう人もいるため、名義変更手続きの期限を決めておくとよいでしょう。
5.車庫証明を取得する
名義変更が終わったら車庫証明を取得します。車庫証明の取得は管轄の警察署で行います。ただし、車庫証明取得までに1週間程度の時間がかかるため、その間のクルマの保管場所はあらかじめ確保しておきましょう。
6.任意保険の手続きをする
車輌に関連する手続きが終わったら、速やかに任意保険の手続きを行いましょう。任意保険は、クルマにかける保険であるため、クルマの入れ替え手続きが必要です。手続き方法については、契約している保険会社に確認してください。
クルマの個人売買の必要書類
クルマの個人売買では、売主・買主のそれぞれで用意しなければならない書類があります。主な必要書類は次のとおりです。
【個人売買で必要となる書類(普通車の場合)】
売主(売る側) | 買主(買う側) |
自動車検査証(車検証) | 車庫証明 |
自賠責保険証明書 | 実印 |
自動車税(種別割)納税証明書 | 印鑑証明書 |
委任状 | 委任状 |
譲渡証明書 |
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印鑑証明書 |
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リサイクル券 |
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住民票※クルマの購入後に住所が変わっていた場合 |
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戸籍謄本※クルマの購入後に氏名が変わっていた場合 |
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【個人売買で必要となる書類(軽自動車の場合)】
売主(売る側) | 買主(買う側) |
自動車検査証(車検証) | 車庫証明 |
自賠責保険証明書 | 実印 |
軽自動車税(種別割)納税証明書 | 印鑑証明書 |
申請依頼書 | 申請依頼書 |
リサイクル券 |
|
普通車と軽自動車で必要書類が異なるだけでなく、手続き場所も異なります。普通車の場合は管轄の運輸局で手続きを実施しますが、軽自動車の場合は管轄の軽自動車検査協会で行います。
クルマの個人売買のメリット
クルマを個人売買する場合のメリットを解説します。
場合によっては高く売れる
クルマの個人売買では、売る側は高く売ることができ、買う側は仲介手数料をカットできる場合が多いです。
必ずしも高く売れて安く買えるというわけではありませんが、売り手と買い手の間に業者が介入しないため、手数料が発生しないといったメリットがあります。
売る相手・買う相手を選べる
個人売買では、売り手と買い手双方ともに、誰に売るか、誰から買うかを選ぶことができます。そのため、本当に売りたい相手にクルマを売ることができたり、信頼できる相手からクルマを買うことができたりします。
クルマの個人売買のデメリット
クルマの個人売買には、デメリットもあります。
トラブルになるリスクがある
個人売買では、車輌の受け渡し、代金の授受、事務手続きなどでトラブルが発生することがあります。トラブルを少しでも減らすためにも売買契約書に日時や期日を明記しておきましょう。
手続きに手間と時間がかかる
クルマを個人間で売買すると、手続きや車輌の受け渡しなどのすべてを売り手と買い手で行わなければなりません。そのため、手続きに時間がかかったり、手間がかかったりします。
事前に点検や整備されていないことが多い
個人売買の場合、中古車販売店を通じて購入したときに行われることが多い納車整備がされないケースが多いです。現状のまま受け渡す場合が多いため、必ずキレイになっているとは限りません。
クルマの個人売買で起こり得るトラブル
クルマの個人売買では、トラブルに巻き込まれるケースが少なくありません。そのため、ここでは個人売買でよくあるトラブルについて解説します。トラブルの内容を踏まえて十分に対策しましょう。
代金を支払わずに連絡が取れなくなる
車輌を受け渡した後に代金を支払う約束をしていた場合、車輌引き渡し後に連絡が取れなくなり、代金が支払われないことがあります。このようなトラブルを防ぐために、先払いにしてもらったり、車輌の引き渡しと同時に代金も支払ってもらったりするとよいでしょう。
名義変更がされない
車輌の引き渡した後に名義変更をせずに乗り続けられてしまうというトラブルが起きる場合があります。
名義変更をしない場合、自動車税(種別割)の納付書が旧所有者(売り手)のもとに届いてしまうなどのトラブルが発生します。トラブルのリスクを抑える方法は下記のとおりです。
・名義変更をいつまでに完了させるか取り決めておく
・名義変更が終わったら連絡するよう約束する
・名義変更後の車検証の写真・コピーを送ってもらう
盗難車だった
個人売買で買ったクルマが盗難車だったケースもあります。個人売買でクルマを買うときは、車検証の名義が本人であるか確認しましょう。本人確認は、免許証や保険証、パスポートなどで行います。
事前に聞いていた故障箇所と異なる部分が壊れていた
個人売買では、事前に聞いていたキズ・凹みや故障箇所と異なる部分が破損・故障しているケースがあります。このようなトラブルに遭わないようにするために、売買契約する前に実車確認をしておくとよいでしょう。
クルマの個人売買のトラブルを防ぐ方法
クルマを個人間で売買するときのトラブルを防ぐ方法について紹介します。
契約書を締結する
顔見知りや友人・知人であっても個人売買をする際は契約書を作成し、内容を確認した後に一部ずつ保有しておきましょう。
契約書には、下記の情報を記載します。
・車輌の金額
・手続きの分担
・車輌受け渡しの日程や方法
・税金の負担額
・連絡先
・手続き日時・期日 など
連絡先を確認する
お互いの連絡先を交換し、連絡がつくようにしておきましょう。電話番号やメールアドレスを交換する際は、偽の情報ではないか確認するために、実際に電話をかけてもらったりメールを送ってもらったりすると、トラブルのリスクを抑えることができます。
クルマの情報は正解に伝える
キズや凹みなど、売る側にとってネガティブな情報であっても、買い手に正しく伝えましょう。クルマの状態について正しく伝えていない場合、後にトラブルに発展する可能性があります。
自動車税(種別割)を支払う人を決めておく
自動車税(種別割)を支払う人と負担額をあらかじめ決めておきましょう。自動車税(種別割)は、売り手と買い手のそれぞれで負担する場合が多いです。
負担額は、売却月によって異なり、6月末に売却した場合、4月〜6月までの税金を売主が負担し、7月〜3月分を買い手が負担するケースが一般的です。
遠隔地の場合は輸送代が高くなることを認識しておく
売り手と買い手が遠距離の場合は、輸送代がかかることを認識しておきましょう。
個人売買で遠方の人にクルマを売った場合、輸送で車輌の引き渡しを行う場合が多いです。このようなケースでは輸送代がかかるため、あらかじめどちらが負担するのか決めておきましょう。
価格はなるべく相場に合わせる
クルマを大切に乗り続けてきた場合であっても、相場からかけ離れた価格では買い手が見つかりません。そのため、売値はなるべく相場に合わせましょう。
適切に税申告する
税金の申告は適切に行いましょう。50万円以上の売却益が発生すると税金の申告が必要で、50万円以上のクルマを買った場合には納税が義務付けられます。
売却益が発生した場合は、確定申告が必要なため、クルマの売却によって利益が発生した場合は、年度末の確定申告を忘れずに行いましょう。
クルマの買取業者への売却との比較
個人売買と買取業者に売却する場合では価格や安心感、トラブルのリスクなどに違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
価格
クルマを売却する際の価格は、買取業者の方が公平です。
買取業者は、クルマの買取を専門としており、買取相場の動向や各車輌ごとの状態から買取額を算出します。一方、個人売買では大体の買取相場を調べることができたとしても、小さなキズや内装の汚れなど、細かなところまで価格へ正確に反映することが難しいでしょう。また、加点や減点などの基準も設けられていないません。
そのため、個人間で価格を決める場合よりも買取業者の方が公平といえます。
安心感
クルマを売却するためには、さまざまな書類を用意したり、手続きをしたりしなければなりません。書類や手続きが漏れてしまうとトラブルになってしまうこともあるため、手続きに不安がある場合は、買取業者に依頼したほうが安心です。
トラブルのリスク
買取業者を通じてクルマを売却すれば、買い手とのトラブルを防ぐことができます。個人売買でトラブルを防ぐ方法をお伝えしましたが、すべて実行したとしても、トラブルを100%防げる確証はありません。たとえば、本人確認においても偽造免許証が使われたり、電話番号を変更されて連絡がつかなくなったりする可能性があります。
トラブルのリスクを回避したい場合には、買取業者に依頼した方がよいでしょう。
まとめ
クルマの個人売買は、売り手と買い手にメリットがある一方、トラブルが発生するリスクがある方法です。
個人間でクルマの売買をする際には、事前に手順や必要書類・手続きについて調べ、抜けがないようにしなければなりません。
クルマを個人売買をしてみようと思ったものの、やはり個人売買は難しそうだと思った場合は、買取業者に売却しましょう。