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更新2017.11.23
1分1秒でも早く、確実に理想的な「クルマの主治医」と出逢う方法とは?
松村 透
そんな生活にすっかり慣れてしまった、あるいは念願の輸入車を手に入れた方にとって(ましてやある程度年齢を重ねてからでは)、ゼロスタートで新たに主治医を探すのはなかなかハードルが高いもの。クルマならなんでもござれ!な主治医ならともかく、特定のメーカーや車種に限定して腕を振るう人だとそうはいきません。
では、理想の主治医はどのようにすれば出逢えるのでしょうか?
紹介に勝るものなし?理想の主治医と出逢うのは、理想のパートナーと出逢う方法と同じ?
年齢や性別に関係なく、理想のパートナー(恋人や配偶者)と出逢ったきっかけは「友人の紹介」が最多。お互いのことを良く知る人が「この2人ならきっとうまくいくだろう」と仮定して引き合わせてくれるのだけに、おのずと確率は高まりそうです。これは主治医との出逢いも同じ。神経質なオーナーがおおざっぱな主治医のところにクルマを預けたら「おいおいおい、もっと丁寧に扱ってくれよ!」とトラブル沙汰にもなりかねません。いくら凄腕の主治医だったとしても、オーナーとの相性はとても大切かつ重要なポイントです。その点を踏まえたうえでの紹介…なので、安心である確率が高まるのです。
周囲に紹介してくれそうな人がいない場合はどうすれば良いか?
念願のクルマを手に入れることはできたけれど、主治医見つからない…または探すあてがない…。あるいは、購入したショップの工場ではどうも不安がある…。そんな人にとって強い味方はインターネットです。Facebook、Twitter、みんカラなど、SNSを駆使して気になるオーナーさんに連絡を試みてください。同じ車種で、しかもいい主治医が見つからないことを告げれば、たとえ面識がなくても親身になって相談に乗ってくれます。
ただし、これには条件があります。まず、あなたが相手に気持ちよく主治医を紹介してもらえるような誠実さとコミュニケーションが取れること、紹介してくれた相手の顔に泥を塗らないように配慮できること、もし主治医に愛車の面倒を診てもらえることになったら、メールではなく、できれば直接会ってお礼をすること。それくらいの気配りが必要です。自分の都合だけ押しつけて、アフターフォローがないようでは、主治医とだっていい関係は築けません。どこの誰だか相手でも、きちんと筋を通してくれたことへの最大限の敬意とお礼をお忘れなく。もしかしたら、同じ趣味を持つ友人になるかもしれないのですから。
コツは、一昔前のヤフオク?
面識のない相手とインターネットでどうやり取りすれば良いんだろう?その解決方法は「一昔前のヤフオク」です。最近はずいぶんとシステマティックになり、相手とのコンタクトもなく淡々とやりとりができるようになりました。それはそれで、手間が掛からずよいのですが、出品者/落札者の人となりが見えにくくなったように思います。
かつては定型文なども存在せず、一字一句ていねいな文章を考えるのに苦労した…という方も多いのではないでしょうか。この「手間の掛かるヤフオク」でトラブルの経験がない方であればまず大丈夫です。何しろ「まったく面識のない相手と金品のやり取り」をしてきたのですから。自分にできるか不安という方、これで安心ではないですか?逆に、トラブル続きだった方は要注意です。
紹介なし、一見さんで行くとどうなるのか?
勇気ある方なら経験があると思いますが、いわゆる「正面突破」です。電話やメールでアポイントを取ってから行くパターンと、意を決してアポなしいきなり突撃パターンがあるかと思いますが、経験上、後者はあまりオススメしません。なぜなら、集中力を高めてエンジンを組んでいる(そんなときは呼んでも反応がないかも?)かもしれませんし、気持ちが乗らなくて事務所でうだうだしている(いわゆる虫の居所が悪い)こともあります。
良くも悪くも、主治医はマイペースであることが多く、それでもなお、腕を頼って大切な愛車を託して、いつになるか分からない納期にもだまって首を長くして待つことも少なくありません。ここはぜひ、きちんとアポイントを取ってから主治医との初対面を果たすことをオススメします。できれば、ちょっとした差し入れなどがあると、職人気質の主治医も密かに喜んでくれるかもしれません。
インタビュー記事を額面通りに信じてはいけない
雑誌やWebサイトの記事で気になる主治医のインタビュー記事を見掛けたり、それがきっかけで門を叩いてみようという考えに至ることもあるかと思います。日々、記事を書いていてこんなこというのもナンですが(せっかくの有料記事なので)、世に出したくても出せないエピソードや、インタビュー中に「これはオフレコで…」という前置きがあるのが普通です。それはご本人にとって辛い過去だったり、若いときにやんちゃしていた黒歴史だったりと、理由はさまざまです。それに対する批判もあるでしょう。しかし、ある程度は「美しいところを見せなければならない使命を担っている」と思っています。「そんなの詐欺だ!」思われる方がいらっしゃるかもしれません。では、あなたがオーナーインタビューを受けることになったとき、ありのまますべてを世に伝えられるでしょうか?ひとつやふたつ「いえない過去」があるはずです。それは主治医も同じ。
あなた自身が理想の主治医を遠ざけていることだって充分にありうる
ごくまれに「おれはお客だ!」という尊大な態度で主治医に接する方がいますが、これではほぼ確実に嫌われます。あなたのクルマを整備しなくても、他に常連のお客さんがいるのです。わざわざ時間を割いて、嫌いな客のクルマの面倒を診る必要はないのです。ディーラーと同じような接客を望むなら、わざわざ主治医を探す必要なんてないかもしれません。もちろん、ディーラーでも尊大な態度で接していたらウラでは確実に嫌われてしまいます。あなたが思っている以上に狭い世の中です。主治医同士の横の繋がりで「アイツは要注意人物」のレッテルを貼られてしまった人が実在します。こうなってしまうと、主治医探しどころではありません。どこに行ってもやんわり断られてしまった経験がある方は要注意です。
主治医と信頼関係を築くことができれば、本当に親身になって相談に乗ってくれる
職人気質の主治医であれば、お金よりも自分が手掛けたクルマに対してできる限りベストを尽くしてくれるはずです。1台、1台が自分にとって作品なわけですから、そのオーナーが困っていれば本当に親身になって相談に乗ってくれます。結果として、儲けよりも仕上がりに対するこだわりの方が上回ってしまうことも…。職人さんにとって、いかに自分が求める仕上がりに到達できるかが重要だったりすることもしばしば。そこに敬意を払い、信頼することで、多少なりともぶっきらぼうな主治医でもいつか心を開いてくれます。腕は確かでも、人付き合いはちょっと苦手、機械と向き合っていた方が気が楽…という人も少なくありませんから。
結論:友人知人、そしてネット経由でも「紹介してもらうのが理想」かもしれない
これだけインターネットが普及した現代でも、たとえば美味しい飲食店の情報は検索サイトよりも口コミが最強のツールであることに変わりはありません。根本は同じで、求めている情報にたどり着くまでの方法と時間が大幅に短縮されたにすぎないのです。自分自身で開拓することも大切なことですが、安心・確実という点においても、やはり「紹介してもらうのが理想」です。
面識のない相手にインターネット経由でどう連絡をしたらよいか分からないという方のために、項目をまとめてみました。とにかく、誠実に、ていねいに。何しろお互いがどこの誰か分からないのですから。
●紹介してほしい主治医が決まっている場合
*氏名、年齢、住んでいる地域、連絡先(携帯とpcメールアドレスなど)
*乗っているクルマ(車種、年式、購入してどのくらい経っているか)
*コンタクトしたきっかけ
*なぜ、その主治医に愛車を託してみたいと思ったのか
*熱意を伝えるアピール文
●紹介してほしい主治医が決まっていない場合
*氏名、年齢、住んでいる地域、連絡先(携帯とpcメールアドレスなど)
*乗っているクルマ(車種、年式、購入してどのくらい経っているか)
*コンタクトしたきっかけ
*主治医に望むこと(エンジンのオーバーホール、愛車全般のメンテナンス等)
*オリジナル派かモディファイ派か
*熱意を伝えるアピール文
念願のクルマを手に入れることより、コンディションを維持し、乗り続けることの方が何倍も大変ですし、覚悟がいります。そのためには、信頼できる主治医の存在が欠かせません。自分にとって、最高の主治医と出逢え、ことあるたびに「ああ、手に入れて本当に良かった」と喜びを噛みしめる日が訪れることを祈っています。
[ライター・撮影/江上透]