ライフスタイル
更新2020.08.19
ボーダーラインは年間10,000km!? 超極上車でも、過走行のクルマは敬遠されてしまうのか?
松村 透
6.1万km、2オーナー、29万円の1991年式ユーノス ロードスターはお買い得だった?
▲インターネットで「ユーノス ロードスター」と検索すると1ページ目に表示されます・・・
かつて、29万円の1991年式ユーノス ロードスターを手に入れたときの走行距離は確か6.1万km(2オーナー)。手に入れたのは2011年だったので、20年間で6.1万kmは少ない方といっていいでしょう。それが購入の決め手になったのもあります。正直いって。当時は「明確な理由はないんだけど、走行距離が少ない方が何となくいいかも・・・」くらいの心境だったのかもしれません。
158万円、走行距離3.0万kmのユーノス ロードスター出現
▲これは初対面時の29万円ユーノス ロードスター
またユーノス ロードスターが欲しくなってしまうといけないので、最近は自分自身にリミッターを課すうえでもカーセンサー&グーネット検索を控えていますが、何となく値上がり傾向にあることは自然と耳に入ってきます。このクルマが現役当時から何度もオーナーになることを夢見て、そのたびに断念してきたユーノス ロードスター購入計画を本気で考えるようになったのは6年前。当時は暇さえあればカーセンサー&グーネット検索&ヤフーオークション等々で「出物」を探していました。
そして、あるとき現れたのです。1991年式ユーノス ロードスターVスペシャル、ボディカラーはネオグリーン、5速MT、ワンオーナー、フルオリジナル、走行距離3.0万kmという極上車が!。痛みがちな運転席側の革シートもきれい(毎日のようにチェックしていたので、意図的に運転席のシートが見えるアングルを撮影していない個体はシートが傷んでいると分かるようになっていました)。車両本体価格158万円・・・。当時でも高い方の部類に入っていたこの個体。いまだったらもっと良い値段で店頭に並んでいることでしょう。
一瞬、グッときました。しかし、完全に予算オーバー。とりあえず、カーセンサー&グーネットの「お気に入り」にチェックを入れて、様子を見ることに。しかし、考えることは皆同じようで、翌日には「Sold Out」の文字が(泣)。本当に欲しいと思う中古車(登録済み未使用車含む)があったら、可能な限り「とりあえずショップに連絡して押さえておく」ことを強くオススメします。しばらく引きずることになりますから・・・。
現在の愛車はすでに過走行・・・
▲こちらが現在の愛車。フォルクスワーゲン ゴルフ。ラウンジという2015年春の限定モデル。在庫車だったものを、フォルクスワーゲンの排ガス規制偽装事件のどさくさで、破格値で譲ってもらえたことで何とか購入
一昨年のフォルクスワーゲンの排ガス規制偽装事件のどさくさに紛れ込んで、破格値で手に入れることになったVWゴルフ。担当セールス氏曰く「もうすぐ新しいゴルフが導入される予定ですけれど、現時点でも当時の条件は出せません」というほどバーゲンプライスだったそうです。勤務するディーラーでも毎月トップクラスの成績をあげているセールス氏でも、当時は月に数台しか売れなくて本当に辛かったそうです・・・。
フォルクスワーゲンの排ガス規制偽装事件の真っ只中であった2015年10月に納車されて、2017年2月現在で走行距離2.1万kmを突破・・・。1年4ヶ月で2万kmオーバーですから、もう完全に過走行の部類。担当セールス氏に「このままだとリセール下がりますよ」といわれてしまう始末。その大半は仕事で使ったので、こればかりはどうにもならないんですよ・・・。この際、リセールなんて関係ないくらい長く乗り続けるのがベストだという結論に至りました。目指せ!10年10万kmストーリー!
頭では分かっているけれど、なぜ過走行へ抵抗があるのか考えてみる
友人・知人のクルマならともかく、ショップの人がいくら「バッチリ整備もしてあります」といわれても、心のどこかで不安要素が拭えないのが過走行のクルマへのイメージであり、先入観。筆者自身も、中古車を買うときは何だかんだいって走行距離を意識してしまっています。
では、なぜ過走行車を避けてしまうのでしょうか。
◎定期交換部品の時期が早まる:
日本の法定点検とは別に、輸入車には「メーカー指定点検(および交換部品)」が定められていることが多く、距離が伸びるほど、交換する部品の項目が増えていきます。もちろん、交換しなくても車検をパスした時点で整備不良として違反切符を切られることはありませんが、先々のことを考えると・・・。
◎故障が心配という先入観:
走行距離が伸びるほど、クルマに負荷が掛かっている(蓄積している)ことは明らか。そうなると、各部の「ヤレ」が気になるところです。
◎過走行車は維持費が掛かりそうという先入観:
前述2項目の懸念材料はここに集約されます。維持費が掛かりそうという不安要素はどうしても拭えません。程度がよければラッキーですが、どこか博打的要素がありますからね・・・。
◎リセールの問題:
個人的に気になってしまうのはここです。手に入れたクルマを廃車になるまで乗り続けるとしたら考える必要はありませんが、将来、手放すことを考えた場合、走行距離が少ない方が高値で引き取ってもらえる確率があがります。その点を考慮すると、過走行車はどうしても敬遠しがちです。掘り出しモノがあるかもしれないことは百も承知なんですが・・・。
各インポーターが定める認定中古車の対象者とは?
たとえば、メーカー認定中古車の場合、日本車・輸入車とわずさまざまな条件が課せられています。初年度登録からの年数、走行距離、正規ディーラーでのメンテナンス、改造の有無・・・。これらの条件を満たしていないと認定中古車として店頭にはならびません。
仮に、走行距離が過走行だとして、それ以外は目を見張るほど程度極上だったとしても、オークション会場に回されてしまいます。
参考までに、各輸入車メーカーが定める認定中古車の対象となる条件をまとめてみました(2017年3月2日現在)
*モデルごとに条件が異なる場合がありますので、詳しくは各正規ディーラーにお問い合わせください
【メルセデス・ベンツ】http://www.mercedes-benz.co.jp/
●サーティファイドカー
・初度登録から5年未満&走行距離6万km未満
●サーティファイドカー バリュー
・初度登録から5年以上&10年未満で、走行距離無制限
・初度登録から5年未満&走行距離6万km以上
【スマート】http://www.smart-j.com/
●サーティファイドカー:
・初度登録から5年未満&走行距離6万km未満
●サーティファイドカー バリュー:
・初度登録から5年以上&10年未満で、走行距離無制限
・初度登録から5年未満&走行距離6万km以上
【フォルクスワーゲン】http://www.volkswagen.co.jp/
●Das WeltAuto.Premium:
・初度登録から2年以内、走行距離5万km以内
●Das WeltAuto.:
・初度登録から7年以内、走行距離7万km以内
●Das WeltAuto.Basic:
・初度登録から10年以内、走行距離10万km以内
(PHEVおよびトゥアレグHVは7年6ヶ月以内)
【BMW】http://www.bmw.com/
●BMW Premium Selection:
・初度登録から5年未満、走行距離6万km未満
●BMW Approved Car:1年間保証
・初度登録から2年以内、走行距離5万km以内
●BMW Used Car:6ヶ月
・初度登録から経過年数の制限無し、走行距離の制限無し
【BMW MINI】http://origin.mini.jp/
●MINI NEXT:2年間
・初度登録から5年未満、走行距離6万km未満
●MINI APPROVED CAR:
・初度登録から2年以内、走行距離5万km以内
●MINI USED CAR:
・初度登録から経過年数の制限無し、走行距離の制限無し
【アウディ】http://www.audi.co.jp/
●AAA Premium Plus:
・初度登録から3年以内、走行距離6万km以下
●AAA Premium:
・初度登録から3年超6年以内、走行距離6万km以下
●AAA:
・初度登録から6年超、または、走行距離6万km超
【ポルシェ】http://www.porsche.com/
・初度登録から9年以内で、かつ走行距離20万km以内
【ランドローバー】http://approved.jp.landrover.com/
・初度登録から登録6年未満、走行距離6万km未満
【ジャガー】http://approved.jp.jaguar.com/
・初度登録から登録6年未満、走行距離6万km未満
【ベントレー】https://www.bentleymotors.jp/
・初度登録から7年以内で、かつ走行距離5万km以内
【ロールスロイス】http://www.rolls-roycemotorcars-nicole.com/
【アストンマーティン】https://www.astonmartin-akasaka.com/
【フィアット】http://www.fiat-auto.co.jp/
・初度登録から7年以内、走行距離8万km未満
【アバルト】http://www.abarth.jp/
・初度登録登録日(名義変更日)より1年間または2年間。(積算走行距離10万km以内)
【アルファ ロメオ】http://www.alfaromeo-jp.com/
・初度登録から7年以内で、かつ走行距離8万km未満
【フェラーリ】http://preowned.ferrari.com/
【ランボルギーニ】http://preowned.lamborghini.com
【マセラティ】http://www.maserati.co.jp/
●サーティファイド プレオウンド
・初度登録から5年以内
●リミテッド サーティファイド プレオウンド
・初度登録から6年以内
【プジョー】http://www.peugeot-approved.net/
・初度登録から9年以内
【シトロエン】http://www.citroen.jp/
・初度登録から9年以内
【ルノー】https://www.renault.jp/
・初度登録から5年以内で、かつ走行距離6万km以内
【ボルボ】http://selekt.volvocars.jp/
・初度登録から6年未満、走行距離6万km以内
【クライスラー】http://www.cj-dealer.jp/
【ジープ】http://www.cj-dealer.jp/
結論:年数の割に走行距離が短すぎても、相応に維持費は掛かる
いわゆるデッドストック物です。倉庫やガレージで眠り姫になっていた個体がある日突然、市場に現れてインターネット上でも話題になることがあります。たとえば、20年で1000kmしか走っていなかった場合、油脂類はもちろんのこと、タイヤなどのゴム類、その他の消耗品を含め、ひととおりのチェックは必要です。どちらかというとコレクターズカーの位置付けかもしれません。個人的には、ちょっともったいなくて乗れません。ましてやモディファイなんてもっての外だと考えてしまいます。
また、1970年代・・・もしかしたら80年代のクルマもこの領域に入りつつあるかもしれません。クラシックカーの領域に入ると、距離よりも程度が重視されるようになります。
もし自分が「このクルマにとって」最後のオーナーになりそうな予感がしたら、できるだけ長く、できるだけこまめにメンテナンスを施し、少しでも長く日本の路上を走れるようにしたいものです。結果として、それが環境にも優しいのではないか?そんな風にも思えてくるのです。
[ライター/江上透]