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更新2020.09.28
VWビートル、ミニ、フィアット500…。古くて新しいクルマに乗らないのはもったいない?
ryoshr
翻って、クルマどうか?
電気自動車はかなり市民権を得てきていることは確かだ。しかし、まだまだ空を飛ぶのは先だろう。絵本にはなかった事実というか、現実がある。20世紀に人気を博したクルマが新しい解釈で甦っているという流れだ。
旧さを感じない歴史あるクルマのリリース
つい先日も日産からフェアレディZの新型が発表された。
初代をはじめ、歴代のフェアレディZからインスパイヤを受けつつも、現代の流行と技術を取り入れ「旧さ」はまったく感じさせないデザインのように思う。しかし、そこはかとなくオリジナルの年式車の雰囲気をかもしていて、日産もなかなかやるな、と思わせる車のようだった。
日産という会社に関して、さまざまな意見や想いがあることは、筆者だけでなくこの記事を読
んでくださっている読者も同じではないだろうか?しかし、純粋に今回の新型フェアレディZは悪くなかったように感じたのは私だけではないと思う。
単なる「乗らず嫌い」で新型に乗らないのはもったいないこと?
ご存知の通り「復刻版として」新型が出たクルマは少なくない。VWビートル、ミニ、フィアット500などは有名で知名度も高い。出始めの頃は「ビートルと新しい方のビートル」と言われていたが、時間が経つと結局「古い方のビートルとビートル」というように、デフォルトが切り替わって行くのが通例のようだ。どのクルマも新旧2台を並べると、デザインのモチーフは面影があるものの、ほぼすべてのクルマのボディが大型化しているのがわかる。
筆者を含めて「古い方」の方が馴染みの深い年代の人からすると、小型な方が小回りも効いて、走りが軽快で、運転していても気持ちがいいのではないかと思ってしまう。しかし、新しい方のクルマも運転してみると、車体が大きくなったデメリットはほとんど感じられず、驚くほど気持ちよく走れたりする。個人差はあるにせよ、もしかしたら「古い方」同じくらいかもしれない。「新しい方はどうも・・・」と思われている方も、いちどぜひ運転してみることをオススメする。本当に意外なほど「旧い方」とギャップがなかったりするからだ。
「進化」は歓迎すべき?
その理由を筆者なりに考えてみた。長く続く車種が少しずつ変化・進化していったのではなく、一度生産が終了となって、新たに復刻版を作った方が斬新なアイディアも取り入れやすく、技術的にもシガラミを受けずに最適なものが採用できるのかもしれないという考えにいたった。その結果「気持ち良さ」につながっているのかもしれないと感じたのだ。
例えば発表以来、50年以上進化し続けているポルシェ911は、空冷から水冷エンジンへと変化したものの、リアエンジン・リアドライブという形式は頑なに維持している。フロントエンジンの他車種(928や944)を発表して好評を博したこともあったが、結局ファンもメーカー自身も過去からの技術を継承し続ける道を選んでいることになる。
ビートルとFiat500はエンジンをリアからフロントへ移したが、MiniはFFのままというのも、その違いが発生した原因に思いを巡らせるだけでも大変楽しい。日本製の軽ワンボックスをベースに、VW Type-Ⅱを模したアイテムを装着したクルマを見かけることがある。キッチンカーなどコマーシャルベースで使っているクルマが多い印象だが、プライベートで楽しんでいる人もいるだろう。
VWマニアの中には眉を顰める人もいるかもしれない。そのスタイルを愛しつつも、現代の走りを求める楽しみ方も大いにアリではないか。前述の新型と同じ考えとするならば、歓迎すべきデザインチューンであるといえると思う。
とはいえ、やっぱり「カタチ」は大切、だと思う
「新しい酒を古い革袋に入れる」という言葉があるが、今回のクルマを例に挙げるとしたら「古いクルマに現代の息吹を吹き込む…」というと大げさだろうか。
総じて言うと「カタチから入る」ことは何も問題がないはず、ということだ。その理由として、旧いワーゲンやMiniが好きな人も、好きになるきっかけはそのフォルムだった可能性が高いのではないかと想像を巡らせる。だから、新型が好きな人のことも、同類と思っていいのではないか?今回のフェアレディZのちょっと前には、アルピーヌ110もリバイバルされた。110は「イチイチマル」でもいいのだが、「ワンテン」と呼んであげるといい。なぜならば、1990年代にSun MicrosystemsのワークステーションでSun4-110というのがあったが、それもやっぱり「ワンテン」と呼ばれていたからだ。おっと、これはクルマの話ではなかった。
[ライター・撮影/ryoshr]