更新2024.05.17
クルマの相続はどうすればいい?手続きの流れや必要書類をパターン別に紹介
外車王SOKEN編集部
自動車の所有者または使用者が亡くなった場合、相続の手続きが必要です。他の相続人とのトラブルを防ぐためにも迅速に行ったほうがよいでしょう。今回は自動車の持ち主が亡くなったときにどのように手続きを進めればよいのか解説します。自動車の相続に困っている方は参考にしてみてください。
自動車の相続とは
自動車は財産の扱いのため、所有者または使用者が亡くなった際には相続の手続きが必要です。
自動車は相続人全員の共有財産となるため、1人が勝手に使用したり売却したりしてはいけません。また、所有者がローン会社やディーラーの場合には、ローン会社やディーラーに連絡して、ローンの一括返済や所有権解除の手続きを行う必要があります。
自動車の相続手続きの流れ
自動車の所有者または使用者が亡くなったときは、次のような流れで手続きを進めます。
1.所有者の確認
まず、所有者を確認してください。クルマの所有者は車検証に記載されています。車検証は自動車に備え付けておかなければならない書類であるため、車内を探すと見つけられるでしょう。
車検証に記載されている所有者が本人の場合は、遺産分割協議によって代表者を決め、名義変更の手続きを行います。所有者がローン会社やディーラーだった場合には、ローン会社やディーラーに連絡して、所定の手続きを経て所有権解除します。
2.遺産分割協議を行う
次に、遺産分割協議によって相続するかどうかを決めます。相続する場合には代表相続人を決め、名義変更をします。もし、ローンが残っている場合は、一括返済してから名義変更するため、所有者欄に記載されている名義人(ローン会社やディーラーなど)に連絡して確認してください。
また、相続しない場合でも、代表相続人に名義変更してから抹消登録(廃車手続き)しなければなりません。そのため、相続する場合でも、相続しない場合でも、代表相続人を決める必要があります。
なお、遺言書がある場合は、遺言書に明記されている内容に沿って手続きを進めます。ただし、相続人全員の同意があれば、遺言書を無視して遺産分割協議を行い、誰がクルマを相続するのかを決められます。
3.自動車の名義変更または譲渡の手続きを行う
所有者の確認や遺産分割協議が終わったら、運輸局で自動車の名義変更をします。名義変更すると、売却や譲渡、抹消登録(廃車手続き)が可能となります。
自動車の相続手続きの必要書類
相続した自動車の名義変更の際には、さまざまな書類を用意しなければなりません。ここからは、名義変更に必要な書類を解説します。
名義変更
自動車の査定額や車種によって必要書類が異なります。なお、相続の条件によっては別の書類が必要なる場合もあるため、詳しくは運輸局や軽自動車検査協会へ問い合わせて確認してください。
【普通車を単身相続(代表相続人)する場合】
1.車検証
2.相続人の書類(印鑑証明書:発行後3ヶ月以内のもの、実印、実印を押印した委任状※代理人による申請の場合に必要)
3.移転登録申請書
4.手数料印紙を貼付した手数料納付書
5.戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書または法定相続情報証明書
6.自動車保管場所証明書(発行から1ヶ月以内もの)
7.使用の本拠の位置を証明する書類(使用の本拠の位置が使用者の住所と異なる場合にあって自動車保管場所証明書適用地域外の場合に限り必要)
8.ナンバープレート(管轄地域が変わる場合のみ)
9.次のうち、いずれかのもの
9-1.相続人全員の署名・捺印(実印)のある遺産分割協議書
9-2.遺言書(公正証書による遺言以外は家庭裁判所による検認済みのもの)
9-3.遺産分割に関する調停調書
9-4.遺言書情報証明書
9-5.遺産分割に関する審判書(確定証明書付)
9-6.判決謄本(確定証明書付)
9-7.申請人である相続人の実印を押印した遺産分割協議成立申立書(申請人である相続人が、相続する自動車の価格100 万円以下であることを確認できる査定証または査定価格を確認できる資料の写し等を添付した場合に限る)
など
【普通車を共同相続する場合】
1.車検証
2.相続人全員の書類(印鑑証明書:発行後3ヶ月以内のもの、実印、実印を押印した委任状※代理人による申請の場合に限り必要)
3.移転登録申請書
4.手数料印紙を貼付した手数料納付書
5.戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書または法定相続情報証明書
6.自動車保管場所証明書
7.使用の本拠の位置を証明する書類
8.ナンバープレート(管轄地域が変わる場合のみ)
など
【軽自動車の場合】
1.自動車検査証(車検証) 原本
2.戸籍謄本等
3.相続人の住民票の写しまたは印鑑証明書
4.ナンバープレート(管轄地域が変わる場合のみ)
5.申請依頼書
など
第3者への譲渡
自動車を第3者へ譲渡する場合にも、名義変更の手続きが必要です。名義変更をした後に第3者への譲渡手続きをします。
自動車は相続税の対象
自動車は、相続税の対象です。相続税は、原則として死亡した人の財産を相続した場合にかかる税金です。
相続税の対象となる財産は、現金、預貯金、貸付金、土地、家屋など金銭として見積りできるものを指します。そのため、自動車も相続税の対象です。
また、クルマの査定額をもとに相続税が課税されるかどうかが変わることがあるため、クルマを相続する際は一度買取業者などを通じて査定してもらいましょう。
なお、相続税には以下の基礎控除が設けられており、全相続財産が以下を下回る場合は相続税が発生しません。
基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
たとえば、法定相続人の数が2人で、自動車を含む全財産が8,000万円の場合は、以下の計算となります。
基礎控除=3,000万円+(600万円×2)=4,200万円
この4,200万円が相続計算の元になる財産額です。税率と控除額を踏まえて以下のように相続税を算出します。
4,200万円×20%-200万円
=640万円
相続税の税率と控除額については、国税庁ホームページを確認しましょう。
自動車は相続放棄が可能
自動車の相続は放棄できます。ただし、自動車だけを相続放棄することはできません。そもそも相続放棄とは、負債を含むすべての財産を相続しないことを意味します。そのため、相続放棄をすると自動車だけでなく、その他の遺産の相続も放棄することになるため注意しなければなりません。もし、自動車だけを廃車にしたいのであれば、一度相続した後に抹消登録(廃車手続き)をします。
まとめ
自動車は財産として認められているため、相続の対象です。勝手に処分したり手続きを忘れたりするとトラブルに発展しかねないため、自動車の相続は忘れずに行いましょう。また、相続の方法がわからないときは、弁護士に相談し、自動車も含めた相続の手続きを一任したほうがよいかもしれません。