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更新2019.08.18
舞台はキャンパス!『埼玉自動車大学校 オートジャンボリー2019』青春真っ只中の学生さんたちと旧き良きヒストリックカーの共演!
細谷明日葉
今回取材にお邪魔させていただいたのは、ヒストリックカー展示が目玉となる2日目。蝉が鳴き始めたもののちょうど良い曇り空でしたので、人にも旧車にも優しい気候だったのではないでしょうか。
キャンパス内のグラウンドに、総勢280台のクルマが並ぶ様は圧巻!
お揃いのTシャツを着用し、スタッフとして頑張る学生さんの姿と、恐らく彼らの親世代となるのではと思しきオトナなクルマたち、どちらも甲乙付け難いほどの輝きを放っておりました。
昭和ヒストリックのオーナーさんと平成の若人たち…きっと時代を超えた共感があったに違いありません。
丸目ざんまい!カッコイイ?カワイイ?そんな目で見つめられると…
現代のクルマではなかなか採用されにくい丸目のヘッドライト。優しい雰囲気を醸し出す丸目に見つめられると、まるで生き物が語りかけているように感じられます。今から50年ほど前の街では、こんなに愛らしいクルマ達が行き交っていたでしょうか?
▲仲良く並んだ3台のフォルクスワーゲン カルマンギア。可愛らしいフロントデザインに対して、横姿はスっと長く精悍です。良く見ると一番左の黒い個体は、初期タイプでボンネットの曲線が若干他の2台と異なっています。車名はドイツのカルマン社とイタリアのカロッツェリア・ギアに由来します
▲オーナーさんたちもカルマンギアがとってもお似合いなオシャレな方々で、ご親切にエンジンや車内まで見せてくださいました。季節に応じて少しの気遣いをしてあげさえすれば、さほど不機嫌になることもないようで…誘惑されてしまいそうです(笑)
▲ヒストリックカーイベントでは必ずと言って良いほど登場し、今でも人気の衰えないロータス ヨーロッパ。今回も全部で4台参加していました。ブラックボンネットの個体の左隣の青い車両はMG ミジェット mk2です
▲こちらもMG ミジェット。顔に見えてしまうクルマって、ついつい真正面からもシャッターを切りたくなります
▲生産国こそ違えど、まるで兄弟のように寄り添うMG-B mk2とホンダ S800。排気量もちょうど1000cc差なところがツボです。年式で言えばS800の方が2歳お兄さんだったのですが(笑)
▲フィアット 500 NUOVA(ヌォーヴァ/新型の意)と600D SCIONERI(シオネリ/カロッツエリア名)。チンクエチェント系には本当に様々なバージョンがありますね
▲米国仕様のトライアンフ TR4A。他の丸目車と比較すると、ボンネットそのものがヘッドライトに沿うように設計されているところが特徴的です。メッキの美しさと相まって、カワイイよりも『カッコイイ』の方がしっくりくるかもしれません
▲現行BMW版まで含めてカウントすれば、丸目でこれほどまでにロングセラーなクルマはミニ以外ないでしょう!どちらも2000年式のローバー ミニクーパーでしたので、ブリテッシュ・モーター・コーポレーション時代から長く愛されたこのオリジナルデザインの最終型ということになりますね
角ばっているからこそ色っぽい!オトナの色香を醸し出すクルマたち
前項とは対照的に、直線的なデザインのクルマをご紹介します。流行もあるのでしょう、曲線デザインよりも少し現代に近づき、1980年前後から後のものが多い印象です。メリハリの効いたボディは勇ましさとともにどこかセクシーな、オトナの風格を感じました!
(幼い頃クルマの絵を描けと言われると、特定の車種をイメージせずとも、何とな〜く四角いクルマを描いたりしませんでしたか?)
▲ハンサムなメルセデス・ベンツ 450SLC。ロングノーズでインパクトがあるものの、主張し過ぎないシンプルなプレスラインでまとめられていて上品です。添えられていたカタログも恐らくとっても貴重な物に違いありません
▲BMW E30カブリオレ。ボンネットおよびホイールセンターキャップのクレストは赤ver.に統一されており、幌の色もワインレッド。これらが漆黒のボディカラーを一層引き立てている印象です。スパルタンな印象を与えるエアロパーツも、この個体では色っぽさすら覚えます
▲こちらは日産ダットサン ブルーバードSSS。ブルーバードは同じ世代でもグレードによりグリル・ライト形状のバリエーションが多いように見受けられますが、とりわけこちらの個体は横一列全てが長方形で構成されているところに魅せられました!20周年を記念するバッジも美しかったので、アップでご紹介
▲ベルトーネブランドとして流通するようなってからのX1-9。タルガトップを開けてあらわになったインテリアは真っ赤で統一!カタログと、特徴的なデフォルメイラストや漫画で有名な田中むねよし氏の手掛けたイラストも展示されていました
▲レトロアメリカンな雰囲気がオシャレなプリムス ヴァリアント。ぴょこっと開いた三角窓も旧車ならではでチャーミングです。ちょうどお隣のダットサン トラックも某ピクサー作品でおなじみ『ピザプラネット』のデリバリー車風にカスタムされており、世界観がピッタリです!
▲ヴァリアントの隣にも1960年代のアメ車が2台。手前のブルーがシボレー ノヴァSS、奥のレッドがダッジ ダートです
思わず二度見してしまいそう?!個性派デザイン&スーパーカー!
車体設計にも法的な制約があり、奇抜なクルマを量産するには何かと一苦労な昨今ですが、古き良き時代だからこそ実現できた独創的なスタイリングが多いのも、ヒストリックカーの魅力の1つです。なかでもひと際個性的なクルマとスーパーカーをピックアップしていきたいと思います!
▲見た目はユニークですが、実はとっても大衆的でシンプルな構造のシトロエン 2CV。奇抜だけどどこか憎めない独特なこの意匠、人を笑顔にさせる力を持っているような気がしてなりません
▲その名の通り3輪車、モーガン 3ホイラー。このクルマのお陰でモーガン社が地位を築いたと言っても過言ではないでしょう!人も荷物もエンジンも、何もかもがむき出しで、気持ちが良いほどに潔いです。なんと背中にはルイヴィトンのトランクが…旅に出るのでしょうか?!
▲一瞬イセッタかと思いきや、4人乗り設計となった後発のBMW 600でした。フロントがガバっと開いて乗り降りする仕様はイセッタ同様。こちらは個人の出展車両ではなく、埼玉自動車大学校の所有車で、玄関ロビーに常時展示されているそうです!
▲なんと米伊合作のスーパーカー、デ・トマソ パンテーラの姿もありました!通常、いくらスーパーカーとはいえども、ある程度歳を重ねた年式の個体だと比較的緩やかに走らせるオーナーさんが多いのですが…こちら、比較的記憶に新しい型(?)のポテンザREシリーズを履いています。さては結構攻めていらっしゃるのでしょうか(笑)
▲場内最大の排気量(6,200cc)を誇っていたのはベントレー S2。さすが…見事な風格です!存在感を放つグリルとリアに向けて流れるような曲線のコントラストが美しいです。当時親会社だったロールスロイスのシルバークラウドとは双子にあたる存在
幻のメーカーも多数登場!国産ヒストリックもアツい!
ここまでは輸入車を中心にご紹介してまいりましたが、国産ヒストリックの集結っぷりも素晴らしいものでした。そこには現在では大型車しか取り扱いのないメーカーが手掛けた秘蔵っ子の姿も!かつて一世を風靡したであろう、古(いにしえ)の名車たちをご覧ください!
▲日野 コンテッサ1300クーペ。日野自動車と聞くと、今やバスやトラックのイメージですが、かつては普通車の生産もおこなわれていましたね。「国産普通車でRRなのはこれだけだよ!」とエンジンルームを見せてくださったオーナーさん。髪の長い女性限定で300万円にてお譲りいただけるそうです(笑)
▲こちらは同型セダンver.のコンテッサ。ドアの枚数以外の意匠はほぼ一緒ですが、それぞれオーナーさんの趣向を凝らしたモディファイで、全く違う雰囲気に仕上がっています
▲今となっては大型商用車メーカーのいすゞも、こうして根強いマニアさんたちにより当時のクルマが生かされています!上からベレット1600GTファストバック、117クーペ、バックネットに設置された舞台でインタビューを受けているピアッツァ
▲デカールとステッカーチューンがスポーティなスズキ フロンテLC-10。こちらは2代目モデルでしょうか。以下にご紹介する個体もそうですが、360ccだった頃の軽自動車は、愛嬌たっぷりなルックスばかりです
▲三菱 ミニカたち。奥の青い車両はマツダのシャンテです。小さいクルマながらも、こうして並んでいるとカラフルで注目の的になりますね!
▲ちょっと珍しい経歴を持つこちらは日産オースチン A40サマーセットサルーン。元々オースチンのクルマですが、ライセンス契約により日産が国内工場にて製造、いわゆるノックダウン生産がなされたモデルです
▲鉄仮面の愛称を持つ日産 スカイラインRSターボ。どうやら4気筒だったがために、GT=Rバッジを逃してしまったという苦い過去があった模様。それでもこうして愛されているのですから、さぞかしクルマも幸せいっぱいでしょう!
▲ホンダ ローラースルーGOGOです(笑)玩具名としては耳にしたことがあり、キックボードのようなものだという認識はあったのですが、まさかホンダ製だったとは…!なるほどヒストリックカー会場に展示されるのも頷けます(笑)
改めて『オートジャンボリー2019』とは一体…?
『オートジャンボリー2019』、こんなにもボリューミーな催しなのに、文化祭とはまた別に行われているイベントなのだそう!
スポンサーや物販は合わせて110社ほど、これらは学園のOBが所属している企業が主で、ディーラーからレースチーム、工具店やホビー店など多岐にわたり、どちらのブースも大盛況でした。
二輪のアクロバット走行や、映画で活躍されているスタントチームの実演もお披露目され、実際に動く車両を目の前で見るが出来るのも目玉の一つ。自動ブレーキや4WD登坂体験試乗など、現代のクルマのテクノロジーを体感できるのも自動車大学らしいと言えるでしょう。
▲受付から入った瞬間、エントランスにはレース車両や物販がズラリ
▲ヒストリックカー展示会場のグラウンド
▲スーパーGTでお馴染み、グッドスマイルレーシングのMercedes-AMG GT3
▲激烈なアクロバット走行や展示車両の国産ハーレー『陸王』など、バイク好きさんにはたまらないコンテンツも満載
▲お土産選びにも困らない?!充実の物販店
▲学生さんが製作した面白コンセプトカー。ハーフカットモデルはスイッチを押すと光のラインで駆動や電力の流れが分かる仕組みに
もちろんターゲットは大人だけでなく、お子様向けにミニ新幹線やポニーふれあい体験コーナーもあるので、ファミリーでのお出かけにもピッタリですよ!
最寄り駅は、埼玉新都市交通ニューシャトル・丸山駅。来年はぜひ皆様も訪れてみてはいかがでしょうか?!
※『公共の交通機関でのご来場をお願いいたします』とのことでした
[ライター・カメラ/細谷 明日葉]