
メンテナンス
更新2018.04.18
旧車にもITを!? 中華製Androidヘッドユニットは使えるか人柱になってみた

高山 則政
クルマ関係では、自分のクルマの補修部品や日本にない工具や用品が気になり、チョイチョイ手を出しては一喜一憂しています。画像や説明書きで見たとおりの素晴らしい製品のときもあれば、日本ではまずありえない品質の粗悪品を掴まされることもあり、スリルとリスクがある買い物です。その中の一つを筆者自ら人柱になってレポートしたいと思います。
海外で多いアンドロイドのヘッドユニットを購入

▲ナビが標準でない時代のBMW E46へアンドロイドヘッドユニットを装着。ナビのGPS性能は劣るものの、インターネット接続や動画再生機能などで今のクルマにも負けない機能へとグレードアップできる!?
今回、ebayで買ったのはBMW E46用の7インチ液晶ディスプレイ付きヘッドユニットで、要はカーナビ/オーディオなんですけど、筆者が自己満足で面白いと思っているのがアンドロイドOSで作動しているところです。最近、社外および純正カーナビでアンドロイドオートやアップルのカープレイ対応をしているのがありますが、アレとは違ってベースからアンドロイド。簡単に言えば、アンドロイドのタブレットを車載用にカスタマイズして純正オーディオ風に搭載したようなものです。
BMWのE46は2000年代前半のモデルなので、ナビはまだ標準ではありません。ベーシックなものはオーディオのヘッドセットとエアコンのコントロールユニットが2段重ね、ナビ付きでもモニターが小さくてしょぼいタイプです。これに国産の2DIN型ヘッドユニットを埋め込むことも可能ですが、E46は設計が古くインパネセンター部の奥行きが少ないため、エアコンユニットの一部をカットし、幅広の純正ユニットと2DIN型の隙間を埋めるパネルを装着する必要があります。

▲注文後5日で到着したアンドロイドヘッドユニット。化粧箱はなく、段ボール箱のなかに発泡スチロールの梱包材と共に詰められている。発送元は香港だった。
ところがこのアンドロイドヘッドユニットは純正オーディオのデザインに合わせてあり、ユニット奥行き側のスペースは上段のみ。前面は7インチの液晶モニターを持ちながら、CD/DVDのスロットが上部にあるのでイチイチ液晶部を開ける必要がありません。ボリュームや調整ノブ、ファンクションボタンも純正風に大きくなり左右に配置されています。一般的な2DINユニットだとディスプレイの下に小さなボタンが配置されていて非常に押しにくいですが(タッチパネル使用が主は言え・・・)、こいつは操作性に関しては純正と同等になっています。
しかも、ステアリングスイッチ対応でボリューム調整や曲送りはステアリングホイールから操作できます。取り付けは専用変換コネクター付きなので本体だけなら、20〜30分程度で取り付け可能。旧型車のリノベーションに最適なガシェットではないかと思います。
インターネット接続は当然。メディアの再生やスマホ連動も充実

▲内容品。本体、GPSアンテナ、BMW E46専用変換コネクター2種(前期/後期用)、スピーカー/AV入出力コネクター、USBケーブル、アンテナ変換ケーブル、オーディオ外し(不要)。
機能に関しては、かなりの多機能です。カーナビはGPSのみで車速やジャイロがないためPNDやスマホ未満の精度となってしまうものの、CD・DVDプレーヤー、FM/AMラジオ、マイクロSDスロット×2、USBポート、Wifi、3Gモデム、ブルートゥース、リバースカメラ、フロントカメラ(ドラレコ用)、外部ビデオ入力および出力があります。
デジタルメディアに関してもフルHD動画の再生が可能で、例えばGoProのようなアクションカメラで撮った映像を車内ですぐ見る…というような使い方もできます。最初に買ったのは1年前ですが、市販カーナビでもフルHDを変換無しで再生できる機種がなかったので、その辺の機能は進んでいたと思います(高級機ではあったかもしれないが、何かの展示会で某国産ナビメーカーの説明員に聞いたときはナビ用の映像エンジンにとってフルHD動画は重いので、スマホやタブレットのような動画再生機能をすぐ実現するのは難しく乞うご期待とのことでした。現在では特に珍しくないかも)。
動画といえばYouTubeアプリを入れてネット接続すれば再生することも可能です。アンドロイドタブレットみたいなものなので、Googleアカウントを持っていればGmailやGoogleマップでのナビゲーションなどを同期させることができます。
ラジオはワールド対応。日本のAM/FMも網羅している


▲外装パネル部は純正デザイン風にしたもので、7インチディスプレイの両サイドに操作系を配置した使いやすいもの。本体部は1DINの厚みで純正と同じ取り付け方ができる。
一つ懸念されるのはラジオでした。並行輸入車もそうですが、海外製のヘッドユニットでは日本とラジオの周波数範囲が違っており、特にFMでは全く使えない状況が発生します。ところが、こいつは世界の主要な周波数帯を網羅していて、初期設定で日本を選ぶことができるのです。AMラジオ局がFMで聴けるワイドFM(90.1MHz〜95MHz)には非対応ですが(他地域に変えれば受信可)、十分なのではないでしょうか。
BMW以外用も当然あり、汎用2DIN等も存在する



▲(画像上)注文した商品のebayでの表示。(画像中)純正、純正ナビ付き(液晶が小さいうえ、別ユニットも必要で大掛かり。もちろん機能、データ的にも古い)、アンドロイドヘッドユニットで最新の環境をゲットできる。(画像下)BMW用のアンドロイドヘッドユニットを検索すると、1シリーズやE39の5シリーズ対応などもあった。
eBayで検索すると、この手のヘッドユニットはたくさんあるようで、他の車種専用や汎用の2DIN型など色々でてきますし、日本の展示会でも出品されているのを見たこともあります。気をつけたいのは、WindoowsCE版もあることです。E46用でもありましたが、私はスマホ等で慣れた操作性やアプリの入手性からアンドロイド版を選びました。ebayでは英語で説明されていますが、ebayとpaypalのアカウントがあれば簡単に買うことができ、1週間ほどで到着します。
先にもちょこっと言いましたが、今回買ったのは2機目です。最初に買った1年前の時点ではOSはアンドロイド4.2のジェリービーンでした。そもそも、1機目の最初に届いたものは酷い出来で、暴走しまくって使えたもんじゃありませんでした。どういうことかというと、ファンクションが無操作で勝手に切り替わり、ラジオ、ナビ、オーディオ再生、DVDと無限ループして行くのです。これは売り主に説明して交換してもらいました。深センへの送料はこちらで負担しました。
実際使いこんでみると、ブルートゥースがペア設定できないとか(多分基盤の不良)、Wifi設定が上手くいかない、マイクがあるのに認識しない、アプリが落ちる、中華パッドでよくあるGooglePlayからインストールできないアプリが多いなど、不具合や忍耐が必要な部分がたくさんありました。それでもGoogleマップの同期は普段使っているPCやスマホの登録地が同じように選べて便利だったのと、YouTubeの音楽PVを流したりとか、渋滞情報を表示させるなど、普通のカーナビとはちょっと違う部分を楽しんでいました。地デジTVチューナーも接続できました。
先代は1年で壊れた…
しかし、ソ○ータイマーではないですが1年経って起動しなくなり、やっぱ国産ナビだよな・・・と思いつつ、とりあえずebayで検索するとOSがアンドロイド5になるなどバージョンアップしており、ついついポチってしまいました。やはりそれなりにトラブルがありますが、随分進化して感動したところも多かったです。そんなアンドロイドヘッドユニットの人柱レポートを今後何回か行っていこうと思います。
●商品ページ(ebay)
Quad-Core Android 5.1 Car Stereo DVD GPS DAB Navi Radio for BMW 3 Series E46 320
http://www.ebay.com/itm/Quad-Core-Android-5-1-Car-Stereo-DVD-GPS-DAB-Navi-Radio-for-BMW-3-Series-E46-320-/272275640313
Android 5.1 Car DVD GPS Navigation 2 DIN Radio Stereo OBD2 for BMW 3 Series E46
http://www.ebay.com/itm/282091454563
[ライター・撮影/高山 則政]