更新2023.08.08
日産がルノーと対等出資で最終契約、EV新会社に最大6億ユーロ
外車王SOKEN編集部
日産自動車と仏ルノーは7月26日、資本関係の見直しについて最終契約を締結したと発表した。日産に対するルノーの出資比率を43%から15%に引き下げ、日産が保有するルノー株の比率と対等にする。ルノーが設立する電気自動車(EV)新会社「アンペア」に日産が最大6億ユーロ(約935億円)を出資し、取締役を派遣することでも合意した。経営危機に陥った日産が1999年にルノーからの出資を受けて始まった両社の提携関係は、本格的なEVシフトに向けて新たなステージに移る。
両社は2月、資本関係の見直しを巡る交渉で基本合意に達し、3月末の最終契約を目指していた。しかし、アンペアへの出資や知的財産の管理などに関する詰めの協議が難航し、最終的に当初の予定から4カ月遅れで新たなスタートを切ることになった。規制当局の承認を得たうえで、年内に資本関係の見直しが完了する見通しで、相互に15%ずつ持ち合う対等出資となる。
日産の内田誠社長は「今回の契約により、ルノーと本当の意味で対等な関係になる。三菱自動車を含めた3社間の協業が次の段階に進む」と強調。欧州ではアンペアへの参画を軸に新たな電動化戦略を推進するほか、米国や中南米などでは他社との提携も視野に、より柔軟な協業体制の構築を進めたい考えを示した。
ルノーは保有する日産株のうち、28.4%をフランスの信託会社に移す計画で、信託期間は議決権が無効となる。信託分は段階的に売却する方針で、内田氏は日産株の扱いについて「将来的にある程度買い戻すことを考えている」と述べた。
アンペアへの出資に関しては、2月時点では「最大15%」の出資で合意していたが、最終的に「最大6億ユーロ」に条件が変更された。市場関係者によると、アンペアの企業価値は最大100億ユーロに上る可能性があり、その場合、日産の出資比率は最大6%程度にとどまることになる。アンペアにはルノーが50%出資し、24年前半の新規株式公開(IPO)を目指している。
[画像/Adobe Stock 提供元/FBC Business Consulting GmbH]