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更新2023.11.22
物販ブースも充実、前年よりもグレードアップ!そして夢があった。「オートモビルカウンシル2018」
中込 健太郎
オートモビルカウンシル2018
まず全体的に感じたのは、密度が高くなった印象です。前回までは、勢いのあるブース(出展企業)が他をけん引する構図があって、全体でのイベントという点では少しちぐはぐなところが目につきましたが、今回は全体に層が厚くなった印象が強かったように感じました。こういっては何ですが前回は一律「売る気のない金額」を掲げて、観る人の想像力に水を差すような販売車も散見されましたが、今回はそういったことも比較的少なかったように感じました。
メーカーブースも控えめになって、そして、各論的な話題でリアルな体験ができるメーカー単位のムックのような構成で、立ち読みをしているような感じ。イベント散策として楽しめました。
物販ブースも充実
またレトロモビルを意識してスタートしたのでしょうが、私は本家には行ったことがないものの、物販ブースの充実も、蚤の市感が増してよかったように感じます。それなりに値の張るものもあるのですが、ついつい散在してしまう。頬が緩み財布の紐が緩む。つい人間がダメになる感じが出てきた。正直前回まではそれほどでもなかったように記憶しています。ああいうことって大事なことだと思うのです。
そして夢があった。ワクイミュージアムが日本での販売権を獲得して紹介していたラ・サルト。レプリカでもなく、復刻でもない。しっかりとした新しいクルマを作るというクリエイティブな魅力はもちつつ、あくまでも由緒正しく、クルマ好きなら誰しもが思い描いたことがあるだろう「もしもあのメーカーがあのままこんなクルマを作っていたならば。」を具現化した一台。
細部のフォルムはところどころモダンな線になっていたり、本家が世に送り出したクルマよりものびやかで自由な雰囲気も備えており、ベントレーのアンダーステイトメント(やりすぎない、控えめな表現度合い)さは守りつつもしっかりと妄想ではじけた部分もある。とても素敵で、自動車趣味的にいまだかつてない試みにして、おそらく今の時代にフィットした提案、示唆に富んだ一台。今レートでおよそ8000万円という価格はもちろん相当に高価だが、究極の自動車趣味人のコレクションとしては実にアフォーダブルな一台のように感じました。
ブース内で気になった個体は…
個人的には初日、そうそう売れてしまっていたが、E34型のBMW520i。これはよかった。価格も98万円と並ぶクルマの中で、そしてそのクルマの存在の妙を考えるとリーズナブルだと思いました。
またメーカーではトヨタが展示した、パブリカスポーツ。あれを再び仕上げて披露したことはメーカーとしてヘリテージへ対する意気込みのようなものも感じます。
マツダは「次の3へ」の思いがかなり色濃く出ていました。そこでランティスが見れたのはよかった。かなり後期の一台だったようですが、アームレストに小物入れのある初期型の要素もあり、ちょっとミステリアスな一台なようにも感じたものですが。あとはMID4。当時シーマも出る前に、仮に出すとしたら2000万円にもなるというその価格。躊躇するのもわかります。でもあの技術的示唆はかなり先進的で、のちの日産車にいろんな形で影響を与えた一台。ひいては、今の日本車にも通じる一台ではないでしょうか。
「レジェンドとゴールドウィングだく」のホンダブースもよかった。ホンダらしくないとか言われますが、ほかのメーカーではあのクルマは作らなかったのではないでしょうか。初代なども。もっと格式ばったセダンが多かった中、スタイリッシュでパーソナルな雰囲気の高性能な3ナンバーの乗用車。子供心ながらにすごいクルマが出てきたなと感じた一台でした。
個人的には1800万円のランチア・フラミニア、2980万円のマセラティ・ギブリ4.9SSは、高いは高いもののお金を持っていたら「行っておきたい」そう思わせる一台でした。ギブリSSなど、感覚的にはSSではないモデルくらいの価格ではないでしょうか。高価ながらリーズナブルな印象すら感じさせる二台でした。
あとは、昨年70周年を迎えたレンジローバーのオリジナル。結構出展されていました。プレミアムSUV全盛の今。もしかしたら「あの手」はこのクルマの登場がなければあり得なかったのかも。にわかに流行の兆しもあるのかもしれません。
ボルボ780、そして940ポラールSX。あのあたりの100万円台~200万円代くらいで、相当に仕上げられていたネオクラシックモデルはかなり食指の動くものが多かったように感じます。そしてそういうクルマはちゃんと売れていました。
トヨペットクラウンの左ハンドル車もいいものを見せていただきました。
オートサロンなどと比べると規模は小さいですが、それでも見ていくと全然時間が足りません。来年は春開催とか。また今から楽しみですね。
[ライター・画像/中込健太郎]