
コラム
更新2023.11.22
極めて対照的な組み合わせ?アルファロメオ GTA1300ジュニアとクラシックカー美女
中込 健太郎

出典:http://www.classiccar-bijo.com/
クラシックカー美女の撮影のためにクルマを探すと、なかなか見つからなかったアルファロメオ。このクルマはクラシックカー美女が開始してから、かなり初期のほうに撮影したクルマでした。アルファロメオというと、このボディを思い描く方も多いのではないでしょうか。ジウジアーロのデザインしたジュリア〜ジュニアかけてのスプリントGT、このクーペボディ。極めて積極的に走り込んでいく意欲のようなものが全身から溢れ出てるデザインではありますが、よく見るとかなりルーフも長く、室内はボディサイズを考えると、居住性の良いクルマだといえるかもしれません。

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そのスプリントGTのボディをそっくりアルミニウム製にして軽量化したレース向けホットモデルこそ、1965年に登場した「ジュリア・スプリントGTA」です。一番手の込んだやり方ですよね。「A」はイタリア語の"Alleggerita"(軽量化された)の略だとか。1,570ccのエンジンも新しいツインプラグを持つシリンダーヘッド、「ジュリアTIスーパー」と同じウェバーのツインキャブレター、マグネシウム製オイルサンプ・カムカバー・クラッチハウジングなどで徹底的にチューンされている上に、クルマ全体としても大幅に軽量化されている、とても隅に置けない1台と言ってよいでしょう。

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車両重量は750kgほどと極めて軽量。私は運転したことがありませんが、車重800kgを切ると、パワー・ウェイトレシオ等で同じ値だったとしても割り切れない、あらゆる万有引力をはねのけるような独特の身軽さを感じるものです。一種の魔法にでもかかったかのようなあの感じは軽くないと味わえないもの。
「ストラダーレ」と呼ばれたロードバージョンも少数作られたようですが、大半はアルファロメオのレース部門に持ち込まれ、レース用に改造されたのだとか。1966年から1969年まで4年連続でヨーロッパツーリングカー選手権のチャンピオン、アメリカのSCCAツーリングカーレースでも活躍するなど、当時の速い車としては忘れることのできない1台でしょう。

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1968年には1290ccの「GTA1300ジュニア」も追加され、ジュリアGTAが生産を終了した後も1973年まで継続生産されます。このエンジンに至っては通常の1300GTジュニアのものではなく、ジュリアGTAの1570ccエンジンのストロークを短縮したものが用いられました。車体は1300GTジュニアがベースで、やはりこの大き目なリアのホイールアーチが目を惹きますね。メーカーがこういうクルマを出すのですから、ちょっと「反則」ですよね。このクルマ、放つオーラが違いました。実はスプリントGTではなく、このオーラに「行間で威圧」するようなところがあり、一度でもこのことに気づいてしまったクルマ好きは、なかなか忘れることはできないのではないか、そんな一台ではないでしょうか。
モデルを務めてくれた菊田真衣子さんのその白い肌とのコントラストが、またこの回の写真の仕上がりをいっそう引き立てているように感じます。ご家族の薫陶の賜物で、最近の言い回しで言えば「普通にクルマが好き」な女の子です。最近ではモデルとしてますますご活躍。

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GTAがはるかにパワーのあるマシンと戦っても負けなかった、その戦いのさなかも日差しだけは柔らかかったのではないでしょうか。この撮影のときのように。GTAと菊田真衣子さん、一見極めて対照的な組み合わせであるかのようにも思えますが、実は「あのときと同じように」「あのときもそうだったように」、数々のレースで輝かしい戦績をおさめていた頃に傍らに佇んでいたであろう「勝利の女神」と、威嚇ではなく、たたき出すタイムで決着を付ける「寡黙な勝負師」のセッションのように思えてならなかったものです。
<素材提供元>
クラシックカーの魅力を美女が伝える「CLASSIC CAR 美女」
■ALFA ROMEO GTA 1300 JUNIOR
http://www.classiccar-bijo.com/alfa-romeo-gta-1300-junior/