ライフスタイル
更新2018.12.04
狙うは9月生産以降?スーパーカーはどうやって購入するのか。その流れを紹介しよう
JUN MASUDA
変わってきたスーパーカーの”売り方”
ちなみにこの「ショールーム」だが、以前は比較的「わかりにくい場所」にあることが多かった。 具体的には高速道路のインターチェンジ付近などだが、これはスーパーカーディーラーの数自体が少なく、ひとつのディーラーで幅広い地域(複数の都道府県)をカバーするため、遠方からでもやってきやすい立地にショールームを構える場合が多かったようだ。
加えて、盗難防止の観点からか、あまり大々的に看板を掲げないことも多かったように思う。
そのため、普段道を歩いていて「偶然スーパーカーのショールームを目にする」機会は少なく、結果として「スーパーカーはどこに売っているのかがわからない」という認識に繋がっていたのかもしれない。
だが、今ではスーパーカーの販売方法も変わってきた。
最近では、スーパーカーのショールームも東京では「青山」、大阪だと「御堂筋」のように、高級ファッションブランドが立ち並ぶ地域に居を構えることが多い。
これは以前とはまったく異なる傾向であり、主には「より多くの人にそのブランドを知ってもらう」ことが目的だと考えられる。
つまり、以前は「知っている人だけが、売っている場所を探して、わざわざ買いに来る」のがスーパーカーであったのだが、今ではどのメーカーも「そのブランドに興味がない人に関心を持ってもらう」ということを重視している、ということだ。
どうしてこういった傾向へと変化してきたのかということだが、ボクは2つ理由があると考えている。
まず、スーパーカーは非常に高価だ。 そして、金額以外にも購入をためらう要素は多い(これは以前に述べたとおりだ)。
https://www.gaisha-oh.com/soken/supercar-2-reasons/
そしてそもそも生活には必要がない。
だから、よほどそのクルマがほしいと考える人を除くと、なにか「きっかけ」がないとスーパーカーを買うことも、そもそも買おうと思うこともないだろう。
だが、そういったスーパーカー購入予備軍に対し、「ここで売っている」「こんなクルマがある」ということを知らせることができれば、そのきっかけとしては成功だ。
世の中にはスーパーカーを購入できるお金を持っていながらも「購入に踏み切れない」人も多いと思われるが、そういった人びとはなにか「きっかけ」があれば、ポンとスーパーカーを購入することがある。
そのきっかけづくりとして、より目立つ場所にショールームを構えることは非常に有効、ということなのだろう。
そしてもう一つは「スーパーカーのファッション化」だ。 以前、スーパーカーはストイックな乗り物だった。 スーパーカーに乗るには、そして運転するには多くのものを切り捨てる必要があった。
しかし今はそうではない。
サウンドもマイルドになったし、燃費も良くなったし、足回りもしなやかになったし、様々な快適装備やドライバーアシストも装備されている(フェラーリやランボルギーニですら、アイドリングストップを装備するようになった)。
かつては走行性能追求のためにスーパーカーを選ぶ(スーパーカーでないと踏み込めない領域があるのは事実だ)というのが主たる購入動機であったと思うが、今では単に「カッコイイから」ということも十分な購入動機であると考えられる。
実際に、フェラーリやランボルギーニ、アストンマーティンなどは、「ブランドストリート」へ、エルメスやルイ・ヴィトン、アルマーニ等と並んでショールームを構えることにより、大きく認知度を上げ、販売を伸ばしているようだ。
実際にスーパーカー購入の流れを紹介しよう
スーパーカーは基本的に「新車在庫」はないと考えていい。 「基本的に」というのは例外もあるからだが、ここでは例外に触れずに通常の方法を紹介してみたい。
スーパーカーの新車在庫がないということはつまり、「受注生産」ということだ。 まずはショールームを訪れ、担当者をつけてもらい、購入の相談をすることになる。
だが、上述のように、最近のスーパーカーメーカーはブランド認知度を高めることや、興味を持ってもらうことに主眼を置いて活動しているといっていい。
だから、商談したからといって必ずしも購入する義務があるわけではないし、担当者もボクらがすぐに買うとは思ってない。
よって、ここでは支払いのことやメンテナンス、保険、その他モロモロの気になるところ、つまり「スーパーカーの現実」を存分に聞くのがいいだろう。
https://www.gaisha-oh.com/soken/supercar-maintenance-costs/
その後購入意欲が高まってきたら「試乗」をお勧めする。 やはりどんなクルマも乗ってみないとわからないことがあるからだ。
試乗後に購入意思が固まれば「注文」ということになるが、ここでボクが注意していることが2つある。
上で「受注生産」だと記したが、つまりは納車まで時間がかかる。
そして「いつ生産するか」「いつ届くか」は重要な問題だ。
およそ欧州のメーカーは7月をビジネスイヤーの終わり(日本風に言うと3月決算だ)と定めており、8月は夏休み、そして9月から新しい年度がはじまる、といったイメージで活動することが多い。
ここでボクが強調したいのは、7月生産と9月生産ではモデルイヤーが変わる、ということだ。 モデルイヤーが変わるということは改良の有無が反映されているかどうかということになり、7月生産だと改良が反映されていない、9月生産だと改良が反映されている、ということになる。
だからボクは、生産月については9月以降となるように注文するようにしている(これはさほど難しいことではない。ディーラーで相談してみよう)。
そしてもうひとつの注意点だが、「年末に登録しない」ということだ。 もし購入したクルマを売却する場合、登録した年によって売却価格が変わることが往々にしてある。
同じモデルイヤーであっても、12月登録のクルマと、翌1月登録のクルマとでは売却価格が変わってくる、ということだ。
だから、9月に生産して12月に日本に到着したとしても、12月ではなく1月に登録したほうが売却時には高く売れることになり、だからボクは年末に登録することは避けている。
そのほか、スーパーカーは注文してからおおよそ納車まで7ヶ月~2年ほどかかる。 現在は世界的にスーパーカー需要が高く、「注文した分をすぐに生産」することはできない。 ディーラーでボクらが注文したデータは本社へと送られ、本社が「ウェイティングリスト」にそれを追加し、順番がやってきたらようやく生産開始、ということだ。
そのウェイティングリストの長さはブランドや車種によっても異なるが、希少性を保つためにスーパーカーメーカーは生産量を決めている。
よって、注文してもすぐに乗れるのがスーパーカーではないということだが(だから中古車需要も高く、相場も高くなる)、もしもスーパーカーの購入を考えているのであれば、すぐにでも最寄りのショールームに足を運び、購入の意思を伝えるのがいいだろう。
[ライター・撮影/JUN MASUDA]