更新2023.05.28
メルセデス・ベンツ史上最高傑作!なぜドイツでW124が選ばれ続けるのか?
高岡 ケン
クラシックメルセデスといえば何を思い浮かべるだろうか。
平らなボディが特徴的なR107のSLクラス。はたまた初期モデルから変わらないデザインで親しまれているゲレンデヴァーゲン。
いやいやW124こそがメルセデスクラシックの王道ではないだろうか。
本国ドイツではファンや愛好家からは「真のメルセデス・ベンツ」といわれるほど、高い評価を得ている伝説の名車だ。
実際にドイツでは、生産終了から25年以上経過しているモデルにもかかわらず、未だに多くのW124を街中で見かける。
そんな長年愛され続けるW124が、なぜここまで人々を魅了するのか、またその魅力とはなんなのか。
今日メルセデス史上最高傑作と謳われた伝説の名車「W124」について解説していく。
■累計生産台数は258万台以上
W124は1984年から1996年にかけて全世界で約258万台以上が生産されたメルセデス・ベンツのミディアムクラスである。
ボディタイプはセダンをはじめ、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレ。さらにはリムジンタイプやロングバージョンと幅広いラインナップが導入された。
エンジンバリエーションも豊富に取り揃えており、ガソリンエンジンとディーゼルエンジン2タイプ合わせて8種類以上のグレードが存在する。
一番下のグレードは75馬力の200Dから最上位モデルはV8エンジンを搭載した326馬力の500Eとなっている。
その後、1993年にはミディアムシリーズからEクラスへと名称変更された。
その後、1995年に登場した後継モデルのW210に置き換わるまで23年間製造され続けた。
■エンジンの耐久性は世界最高レベル
ガソリンエンジンであっても、走行距離が50万kmに達することは珍しくない。
ディーゼルエンジンであれば、なおさら耐久性が上がるため、より長く走ることができるだろう。
エンジンの耐久年数とランニングコストを考えたときに、ディーゼルエンジンはよく走る人にとって「うってつけ」である。
ゆえにドイツのタクシーはほとんどがディーゼルエンジンを搭載したメルセデスが選ばれている。
中には走行距離が190万キロに達するW124の200Dもあるというから驚きだ。
W124の開発にあたっては、エンジニアであるヴェルナー・ブライトシュヴェルト指導の下、研究が進められた。
現在のように、制御部門やマーケティング部門ではなく、エンジニアが開発責任者として生産されたクルマとしては最後のメルセデスである。
そのシンプルな外観とは裏腹に、優れた品質に加えエンジンとテクノロジーの極めて長い寿命が真のメルセデスといわれる所以ではないだろうか。
■ドイツにおいて、維持費は現行モデルよりもはるかに安い
クラシックカーといえば壊れやすく、その交換部品の在庫が少ないという理由から部品代、修理費が高くなってしまうのが現実である。
しかし上記で述べたとおり、W124は車両品質が優れており、非常に壊れにくいというのが特徴だ。
加えて、過去にはタクシーとしても利用され、数多くのW124が販売されたことにより、スペアパーツも入手しやすい傾向にある。
一般的な消耗部品は現在でも比較的安価に入手でき、新品のブレーキディスクセットに至っては100ユーロ(約15,000円)以下で購入することができる。
しかし、すべてが完璧なクルマというわけではない。
当然壊れやすい部品もあり、フロントフェンダーに関しては設計ミスにより腐食して錆が出てしまうこともある。
ところがこれらはスペアパーツが安価で入手でき、修理がしやすいため、クラシックカー最大の欠点である修理費がそれほど高くなることはない。
■まとめ:実用的なステーションワゴンの市場価格は年々上昇傾向
W124は無骨なデザインながらも、考え抜かれた作り。圧倒的な実用性。経済的な維持費であることから今なお多くのファンが存在する。
同時期に販売されていたBMW E34やボルボ740と比べても、市場価値は圧倒的に高い。
特に実用的なステーションワゴンの市場価格は年々上昇傾向にあり、数年後にはW124がVWビートルに代わって、ドイツでもっとも人気のあるクラシックカーになるだろう。
[画像/メルセデス・ベンツ、ライター/高岡ケン]