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コラム

更新2023.11.22

日本では白黒に集中。この国のボディカラー事情について思うこと

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中込 健太郎

世相や流行が反映、などということもあるようですが、クルマの往来に目を向けると、白や黒い色のクルマのなんと多いことか。今回はそんなクルマの外装色について少し触れてみたいと思います。


■黒や白の万能性


「どうして色の選択肢がたくさんあるのに、わざわざ白や黒を選ぶのだろうか?」それが私の個人的な見解でした。

中古車のように選択肢が限られる場合、好みの車種、希望の距離・予算等々・・・贅沢をいってはいられないかもしれません(逆に色味で惹かれて選ぶことはあり得ますが)。


ただ、新車の場合、自分の好みでオーダーできるわけです。カタログにもさまざまな設定色が載っていて、注文が可能な状況であれば、できれば避けたい。クルマのカラーリングに関しては、そのくらい白・黒は避けたい色といえるかもしれません。



白黒にクルマの外装色が偏りがちな理由の一つには、日本人の国民性が関係しているのかもしれません。例えば、一つの基準となるのは、冠婚葬祭のときに乗って行っても「可笑しくない」ということ。この可笑しいとは、人を笑顔にさせるエンターテインメントや、アトラクションのような「楽しませることの価値」ではなく、社会やコミュニティで突出、はみ出しものになること。どうも地方の方言などではまだ残っているようですが、時に「由々しい」「憚られる」ことを指す言葉として「面白い」や「おかしい」が使われたりするようです。


こうした、今風の解釈では「愉快」「楽しい」ということは、古来の日本の風土ではどこか度が過ぎると、はみだしものになること、節度ないこと。そうした方向性を内包している面があるように思われるのです。したがって、いつ何時も波風立てないことはそれ自体、この国で生きていくための処世術のような面があり、そう考えるとクルマの色で白や黒を選ぶというのは節度ある大人の選択といえます。


慎ましい、派手で目立つことのないように。そうした日本の社会の中での心構えのようなものが多大に影響しているのではないか。そんなふうに考えるのであります。


この選択には、ある種の無難さを兼ね備えた万能性があるように感じます。ちなみに写真のシトロエンC6だと、積極的に精悍さがあり、鮮やかさを感じるのはデザインのせいでしょうか。フランスの大統領公用車のイメージも大きく手伝っているかもしれません。


ちなみにこのクルマも、前のオーナーは一時期このクルマを会社の公用車のように使用していたことがあるそうです。シトロエンのようなやや個性が際立つ車種でも、白や黒だとその奇抜さが弱まるという面もあるのかもしれません。


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■クルマの色は「風景」の色、だと思う



では自分のクルマ選びで、白黒をチョイスするかといえば答えはNOです。その理由は一つではないのですが、まずみんなが選ぶので「ありきたりだから」です。ありきたりなものを選ぶのはもったいないことのように思うのです。


なかなかみんなギリギリの中で生活し労働し、ビジネスに従事している今、個人であっても、企業の経済活動であっても、そこにあるきんすがなけなしのお金である場合は少なくないでしょう。そのなけなしの金で買うクルマで「ありきたり」はできるだけ避けたいことです。


結果として失敗でも、やはりある程度キモ入りの選択をしたいと思うのです。もちろん無限のカラーリングができるわけではありません。しかしできるだけ好きな色で、他人とかぶらない色選びをしたいと思うものです。


とはいえ、黒や白でも、その塗装工程の仕上げのせいでしょうか?内装やコーチラインのような差し色によるコーディネーションの賜物でしょうか。妙に艶やかな黒や、華々しい白もあるもの。そんな色をまとったクルマの前ではつい足が止まってしまうものです。


また、今はラッピングなどで、好きな色のシートを施行し、比較的簡単に色の変更もできないことはありません。昔は全塗装するほかはありませんでした。それは、クルマとしての査定時の価値にも大きく影響してしまうものです。


しかし、ラッピングで好きな色にするのは、外装保護の観点でもプラスですし、好みに合わせて途中で変更することだって可能なのです。光沢の種類や、艶消しのマッドカラーなどもこうしたもので調整することができますし。


ほこりや、飛び石などの傷がつくのを防いだり、水垢が沈着したりということも防げる便利なツール。実は個人的にはちょっと興味がある分野。まだ自分のクルマに施工したことは無いので一度試してみたいともくろんでいます。

クルマの色は、実は風景の色・風景の一部ということもできるのではないでしょうか。季節を映す緑と同様に、風景の中でひと際目を引き、風景に溶け込み、私たちの印象に残っていくのです。クルマの社会性を決定づけるのは外装色なのではないだろうか。常々そんな風に思っている面があるのです。



ボディデザインの陰影でさらにクルマを魅力的に見せるから、という色彩としての好みというより、大多数が白と黒。そんな現状がゆえに「埋もれてしまうこと」が、私が白黒を積極的に選択したくない理由の本質かもしれません。


■シャンパンゴールド・ライトブルー・グリーン系・濃いめの赤、紫など。つい足が止まる魅力的なカラー



では、筆者はどのような色を好むか。比較的彩色系が好みという面はあります。スポーツカーなら赤・青・黄色。信号機のような色がいいのではないかと思っています。セダンや、ワゴンは明るい華やかな色か、落ち着いた色が好みでしょうか。例えば、シャンパンゴールド系、メタリックの入った水色。あとはボルドーのような濃いめの赤系色。カタログやホームページのコンフィギュレーターなどではついついこういう色をチョイスしがちです。


昔カーグラフィックを読み耽っていた際は、長期テストで使用していたメルセデスベンツの260Eのウィローグリーン。鶯色のような淡いグリーンのボディカラー、この色がとても好きでした。その色の好みもあって、W124レポートが楽しみになり、メルセデス・ベンツへの畏敬の念が芽生えたという面はあるかもしれません。私が乗っていたW124はミッドナイトブルーという深みのあるダークブルーでしたが。


ここ数年色で良いなと思うのがメタリック系のライトブルーです。メルセデス・ベンツでいえばW210などで設定されていたアクアマリンブルーというのがありましたし、1990年代ベントレー/ロールス・ロイスでは「ラプソディー」という名前の色がありました。マセラティにもアルゼンチンブルーというのがあって、この3200GTなどかなり惹かれるものがあります。


この手のブルー、若々しくてくっきりと鮮やかですが、子供じみたところがない。最近良いなあと思うボディカラーだったりしています。


あとは濃淡問わずパープル。紫色ですね。淡いとピンクにも通じるかもしれません。このあたりの色はもともと日本では高貴な色とされてきましたが、とはいえ、クルマにきつめな配色なのではと思いがちです。しかしなかなか存在感をアピールしつつ、いいアクセントになっているように感じます。最近いいなと思うことが多いボディカラーの一つです(そんなこんなで、筆者の写真フォルダ、実は黒い車の写真が極端に少ないのです。そんな中印象的な色のクルマといえば、このパナメーラはそんな一台)。


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■結論「好きなクルマに乗る」に尽きる



色々と個人的な好みなどを掻き立てておいてこんなことをいうのもなんなのですが、とはいえ好きなクルマに乗るのが一番です。白黒が好きな人も多いでしょうし、白黒でも気にせず選んだからいい個体、いいクルマに出会えたということもあるでしょう。カラーリングは、クルマにおいて、確かに枝葉の問題なのかもしれません。ご縁があるクルマ、気に入ったクルマに乗ればいいと思うのです。


ただ、クルマが好きだったり、憧れの一台があったりすると、こんな色のクルマに乗って、というのは妄想レベルでは避けて通れないことでしょうし、ついつい足を止めてしまうカラーリング、内外装などのトータルコーディネートのクルマというのはあるはず。そういうものに思いを馳せて一人思い耽る。間違いなくこれもクルマ趣味の一つではないでしょうか。


私など、振り返ってみると、青みがかったグレーのマセラティ430、紺のメルセデスやシトロエンBX、ルノー・ラグナのダークグリーンなど、琴線に触れる色は白黒でないにしても落ち着いた色が多いなあなどと思います。でもどれもいい色だなと思っています。


白や黒でいいのと、白か黒がいいというのと、そして白や黒が好きというのもあるでしょうから。これらすべてあっていいと思いますし、それぞれまったく別の意味合いが隠れていると感じます。いずれにしても、クルマを選ぶ際、色も大いにこだわりたいものです。



みなさんはどんな色が好きですか?そして最近どんな色のクルマに心奪われましたか?


[ライター・画像/中込健太郎]

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