イベント
更新2017.12.30
クルマ文化と関わりの深い岡山県の旧車イベント「倉敷旧車倶楽部inもてなしの館」で見つけた、愛車とオーナーの物語
野鶴 美和
筆者の住む岡山、じつはクルマ文化と関わりが深い土地です。例えば「国産自動車第一号」は、岡山県で生まれています。1904年に岡山市在住の電気技師・山羽虎夫が「山羽式蒸気自動車」を製作、試運転した記録が残ります。さらに三菱自動車水島製作所をはじめとした自動車関連会社も数多く、サーキット3つを有します。
そんな歴史や恵まれた環境もあるおかげか、クルマ関連のイベントも多く、オーナーによるコミュニティがいくつも存在しています。今回ご紹介するクラブ「倉敷旧車倶楽部」もそのひとつです。
倉敷旧車倶楽部主催のイベントへ
去る2017年11月19日(日)。「吉備路もてなしの館」第二駐車場で開催された「倉敷旧車倶楽部inもてなしの館」へ行ってまいりました。2017年初夏のツーリングをきっかけに、イベントの際はお声がけをいただいています。この日は、約100台のクラシックカーが参加していました。
「倉敷旧車倶楽部」は2018年で発足9年目を迎えます。まずはイベントのヒストリーと今後の活動への思いを、代表の別府彰さんに伺いました。
▲別府彰さんはダイハツ コンパーノGT、同車バンタイプのオーナー
「倉敷旧車倶楽部は、2009年に『マビ昭和館』※館長の丸岡律夫さんを含む5名で発足されました。立ち上げた年にこのイベントもスタートさせています。
発足当時は別の場所で行なっていましたが、メンバーの知人や友人つながりで人数が増えたため、場所をこちらの『もてなしの館』さんに移しました。私が代表を引き継いだのは、発足から7年目のことです。
マンネリ化しないようアイデアを出し、新しいイベントも企画して新規参加者にも楽しんでいただけたらと良いですね。そしてこれからも情報交換の場として利用していただき、地域活性の一環としても盛り上げていけたらと思っています」
※昭和のオールドカーとアンティークコレクションのミュージアム
会場には倉敷旧車倶楽部の発起人、丸岡律夫さんの愛車も参加。ミツビシ デボネアのオープンカーは、瀬戸大橋開通記念として3台のみ製造された貴重な個体。フィギュアスケート選手・高橋大輔さんの帰郷パレードでも活躍しました。
このような貴重なクルマをはじめ、みんなの憧れだったスポーツカー、戦前生まれの個体まで、さまざまなクルマたちが集結。オーナーのみなさんにもインタビュー、愛車への想いも語っていただきました。
会場は約100台のクルマたちが集結し、盛況
この日は10時に開場。「もてなしの館」の第二駐車場は、参加者の愛車がズラリ。屋台やショップも出店し、イベントムードが盛り上がります。オーナーのみなさんに加えて一般見学のかたも多く訪れ、会場は一層賑わいを見せていました。
▲当日、気温は低かったものの晴天に恵まれて
▲機械遺産に認定されたスバル 360がこんなにたくさん!
▲憧れのトヨタ 2000GT、岡山にも生息しているのですね…!
▲雑貨の販売や個人のフリーマーケットも開かれていました
こちらのテントでは焼きそばを販売。店主の宮本英貴さんは、蒜山に「クルマ&バイク好きのためのゲストハウス」をオープン予定。現在建物をリノベーション中だそうです。
▲ピリ辛でコク深い専用ソースが麺に絡んでおいしい!
▲コンクールも開催され、ユニークな賞も
▲最年長87歳のオーナーが表彰されました。「僕らの希望の星です!」
参加オーナーへインタビュー、愛車への想い
オーナーのみなさんに愛車への想いやエピソードを伺ってきました。
■トヨタ パブリカ スーパー 1967年製
オーナー 梅本一郎さん 49歳
新車から親子3代で乗り続けている個体です。ヨタハチと同じエンジンですね。亡き父の形見であり「孫が免許を取るまでは大事に乗るぞ」が口癖でした。乗れる間は、ずっと乗り続けたいです。
■ダットサン フェアレディ 1967年製
オーナー 正田和之さん 66歳
このSR311はローウィンドタイプの前期型です。学生時代から憧れていて手に入れた個体です。元気なあいだは乗り続けたいですね。
※正田さんは笠岡市で、うどん店「おかやまや」を営んでいらっしゃいます。岡山を訪れた際にはぜひ
■ミツビシ 500 スタンダード 1961年製
オーナー 黒田知宏さん 41歳
偶然出会い、縁がありました。他に持っている人がいないこと、500ccのエンジンであるところが魅力的ですね。他にスバル360、フロンテ360、R360と暮らしています。(私信:Aさん待ってます!)
■いすゞ フローリアンTL 1981年製
オーナー 岡本尚久さん 44歳
ディーゼルターボを搭載しているところと、この“微妙な”デザインが気に入っています。「ブサかわいさ」のあるデザインがたまりません。じつは一度この個体を手放しているのですが、京都、神奈川のオーナーを経て偶然戻ってきてくれました。家族の一員として大切にしていきたいと思います。
■ニッサン ブルーバード510 1971年製
オーナー 林哲哉さん 54歳
このクルマは4ドアのオーナーさんが多いのですが、2ドアのめずらしいモデルです。友人の紹介で4年前にめぐり会い、手に入れました。サーキットやドライブなど、走るのが好きですね。昔のクルマですが、走らせたらすごく楽しい。どんどん乗って走りたいです!
■ニッサン プリンススカイライン2000GTB 1971年製
オーナー 難波俊彦さん 64歳
手に入れたのは35年前になります。もともとは知人の所有で、その頃乗っていた510と交換しました。同時所有で何台か乗り継いできましたが、スカイラインだけは手元に残してきました。チョコチョコといろんな故障があるのでしょっちゅう直していますが、悪いところを直すのが楽しみなんです。
■ホンダ S600 1964年製
オーナー 赤澤光政さん 68歳
この個体は初期型です。「最初に乗ったクルマが手に入ったら」と思っていたら出会えました。個人でSを収集していたかたが一斉に手放したコレクションのうちの1台だったんです。雑誌の広告で目にして名古屋まで見に行き、その日のうちに購入となりました。毎週一度、走らせて過ごしていきたいです。75歳までは乗り続けたいですね。
■ミツビシ ギャランGTO 1974年製
オーナー藤澤久さん 68歳
23歳ごろに乗っていたクルマで、発売されてすぐに買ったものです。一度登録抹消したのですが、今年再登録をしました。ダックテールがお気に入りです。ある程度乗って遊びたい、楽しみたいと思っています。
■シボレー デラックスセダン(おそらく)1931年製
オーナー 福島章さん 63歳
当時のシボレーはキャデラックをお手本としていたので、このクルマも「ベビーキャデラック」と親しまれていました。映画「アメリカン・グラフィティ」を思わせるスタイルがお気に入りです。みんなが乗っていないようなクルマを探していて、ネットで見つけて手に入れました。このクルマで「ベッキオバンビーノ」にも参加したいと思います。
■ダイハツ ミゼットトラック 1960年製
オーナー 伍賀公夫さん 67歳
かわいいスタイルとボディカラーがお気に入りです。純正色で、当時の「草色」というカラーです。このクルマとは死ぬまで一緒にいたいですね。
■ミツビシ ミニカ360 デラックス 1969年製
オーナー 柴田倫孝さん 45歳
通称「羽根ミニカ」と呼ばれています。高度成長期の時代に活躍したクルマで、リアのテールフィンがアメリカンスタイルを感じさせます。古いクルマが好きなので、何十年も走れるように維持していきたいです。
■スバル R2 1971年製
オーナー 長町征一さん 78歳
ニードルバルブ式なので、よく走ってくれます。「てんとう虫(スバル360)」より安定性は良いと思います。てんとう虫も好きで、以前3台持っていました。
毎回、オーナーさんにエピソードを伺うたび、深く感じ入ります。この世にあるクルマの数だけストーリーがあります。筆者は「人に愛されているクルマ」のストーリーを伝えていくことが、クルマ文化を守る一助となればと考えています。今回の取材でもオーナーのみなさんから話を伺いつつ、あらためてそんな想いを抱いた次第です。
いかがでしたでしょうか、岡山県にはこんなすてきなミーティングがたくさん開催されています。CL読者のみなさま、ぜひ岡山県へもお越しくださいね。2018年も良い年になりますように。
[ライター・カメラ/野鶴美和]