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更新2021.01.21

2050年脱炭素宣言が「木を見て森を見ず」な結果とならないために…。

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ryoshr

去る1月7日、首都圏を中心に、新型コロナによって2回目の緊急事態宣言が発せられた。さらに14日には栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県にも発令された。自治体が独自に宣言している例もある。

読者の皆様におかれましても、宣言の趣旨を理解し、それぞれの立場で感染防止を心がけていることと思う。

緊急事態宣言を出たことは仕方ないとして、出すタイミングやその前の施策など、ちぐはぐなことが多かった印象だ。

■「脱炭素宣言」に対する豊田社長のコメント

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なんでもかんでも批判したり反対する気はないし、合理性があれば支持もする。しかし、人々がみんな自分のメリットだけを考えはじめると、政治家が「人々の民意」を誤解するのではないか、と感じている。

何がいいたいかわからないと思うので、今回のテーマをそろそろ紹介すると「2050年脱炭素宣言」に関する豊田社長のコメントについてだ。様々なメディアで紹介されているので、詳細は割愛するが、だいたいこんな趣旨だったと理解している。

・ガソリンで走る自動車をなくしたからと言って脱炭素にはならない
・なぜならば、電気で走る自動車のためにたくさん発電しないといけないからだ
・さらに、電気で走る自動車は製造の工程でたくさんの電気を必要とする
・それらの電力供給に関して手を打ててないのにガソリン車減らしていいのか?

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ふんわりとした話ではなく、具体的なデータを元に、他国の例も示しながら日本の電力行政に関する無策を指摘している。肝心なことは「だから脱炭素を止めましょう」とはまったく記されていなくて、「自動車業界だけで実現できることではない」と書いている点だ。簡単なことではないが、地球のため、これからその星で生きていく次の世代に向けて環境破壊を食い止め、改善をして渡して行くためには「脱炭素」という大枠には合意できる。しかし、具体策としての「ガソリン車全廃」だけが先行して決まって行くことに危機感を持っていることの表明だったと筆者は感じたが、みなさんはどうお考えだろうか。

いち事業者が、自社のメリットだけを考えて発信しているのではなく、日本や地球のことを総合的に考えたときに何をすべきか?どう考えるべきかを示した点において、コロナ禍にあって大人数の会食を繰り返す政治家たちがいっていることよりも筋が通っている。

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■13年超車への重課税も相似?

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上記のガソリン車撤廃に関する疑問は、13年超車の重課税の不合理さを説明する上でも十分に採用できる。

・日本で登録されてから13年を過ぎたら急に環境負荷があがるわけがない
・運輸分野のCO2排出量は、他国と比べても多いわけでない
・古い車を継続利用することは、製造時・廃棄時に環境負荷を与えない

いわゆる「13年超車」に乗る人は、環境負荷を押しあげたいと思っているわけでも、地球環境を悪化させようとしているわけでもないはずだ。確かにミクロに見れば、ガソリンを燃やしCO2を排出してはいる。しかし、マクロに見たときにそれが全体を悪化させている要因とは特定できない、というのが合理的な解釈ではないだろうか。

■withコロナ時代の脱炭素の未来とは?

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緊急事態宣言後、withコロナの時代になったとき、クルマをめぐる環境議論はどのような方向になるのか?筆者自身、今のところ予測が立たない。withコロナと脱炭素は強い関連はなさそうだが、例えば、人々の移動が極端に減り、物流だけが増加するような世の中になったとき、自家用車の需要はさらに冷え込むのではないかと思う。また、貨物運搬用の大型車や個別配送用のスクーターが増えたとき、その分野のハイブリッド化や電化に関する研究開発は脱炭素目標の年限と整合するかのか…等々、やはりこれもマクロ視点での議論が必要と思われる。

ただ、この年始に年賀状を配る郵便局員が乗るバイクは、不思議な音のする電動モータースクータだった。住宅地を縫うように走る郵便配達のスクーターが静かになったということは、騒音を減らすという点で素直に歓迎できる。さらに、電動スクーターは街の空気を汚さないことも評価できる。直感的に「お、いいな」と思ってしまった自分の中の矛盾をこの原稿を書きながら気づいてしまった。

だが、この電動スクーターの製造には多くの電気が必要である。その電気を作るために多くの燃料を消費する。そして、毎日の充電するための電気を作る際にも…。そのことを郵便局員が乗る赤いスクーターを見た時点では思いがいたらかなかった。この「木を見て森を見ない」ことは自分の中でも起きていたことに気がついてしまった。言い訳をするわけではないが、油断すると、これは誰にでも起こることなのかもしれない。

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■「このクルマは一生モノです」は死語になる?

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最後になるが「脱炭素」のキーワードは、その人の立場や価値観によって、解釈や受け止め方はさまざまだろう。ただ、ひとついえることは「このクルマは一生モノです」という時代が終わりを告げる未来が訪れるかもしれない、ということだ。最近発売されるニューモデルのインストルメント・パネルにおける液晶モニターの面積に驚くことがしばしばある。液晶モニターが故障して、いずれ部品が廃番になったとき、そのクルマは動力は生きていても動かせない可能性がある。人間でいうなら脳死状態のようなものだ。そうなったら乗り換える(捨てる)しかない。

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休日の早朝ともなれば、半世紀も前のクラシックカーが元気に走り回っている光景が見られる。壊れた部品を交換したり、レストアしたりすることでどうにか現代まで生きながらえているわけだ。withコロナ時代の脱炭素の未来が「モノを大事にする」という、ごくごくあたりまえのことがおざなりにされない未来であってほしいものだ。


[ライター・撮影/ryoshr]

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