
中古車の魅力
更新2018.06.18
日本車の世界でのレジェンド、別格の存在感を漂わせるトヨタ・センチュリー
外車王SOKEN編集部
トヨタ・センチュリーとは?
1967年にデビューしたこのクルマは、明治100年(ものすごい数え方…)にちなんで「センチュリー」(世紀)と名付けられました。
官公庁や企業のVIP用に企画された最高級車で、全幅1890mm、全長5メートルを超える車体、四角くて大きなヘッドライト、V型8気筒3000cc(1973年に3400cc、1982年に4000ccに拡大された)のエンジン。当時の国産車としては別格のスケール感を持っていました。
トヨタ・センチュリーの魅力

1982年に大きなマイナーチェンジを経て、1997年のモデルチェンジまで30年にわたって造られた初代センチュリーは、トヨタ車としては異例に息の長いモデルでした。また、モデルチェンジ後の後期型は国産車唯一のV型12気筒5000ccエンジンを積んだ世界基準の最高級セダンで、こちらも2017年まで20年間続きました。
移り変わりの早い国産車の中にあって、このモデルチェンジのサイクルの長さは際立っていて、ほぼ国産乗用車の流れの外側にいる存在と思って間違いありません。
働く自動車「トヨタ・センチュリー」

▲純正ホイールにはトヨタマークではなく鳳凰があしらわれている
通常の乗用車は個人の好みで選ばれるものなので、性能はもちろんデザインや色といった幅広い嗜好に応えるべく、さまざまなモデルやグレード、バリエーションが展開され、また短いスパンでのモデルチェンジが行われるわけですが、センチュリーはほぼほぼそういう基準での選択に晒されないと考えられます。「VIP専用車」という明確な軸があって、つまりは用途が明確に決まっているある意味「働く自動車」だと言っても間違いではないでしょう。
また、センチュリーは特装車として霊柩車のベースになることもあります。こちらはもう完全に働く自動車ですね。
つまり、例え価格帯が重なったとしてもレクサスとは違う、またクラウンとも当然違う存在です。間違っても特別設定色モモタロウなどは企画されないはずです。いや、個人的には見てみたい気もしますが。

▲コクピットはあくまで運転手の仕事場。むやみに豪華さを押しつけてはこない
センチュリーはもちろんオーナーが運転することを想定していない、いわゆるショーファードリブン・カーです。なので、後部座席の快適さを最優先に設計されていて、いわゆる「運転して楽しいクルマ」ではない、とされています。
しかし、オーソドックスなスタイルの四角いデザインは大柄な車体の割には見切りが良く、意外と乗りやすいクルマであるとも言われます。後部座席が快適であるということは、つまりは運転するものも疲れない性能が求められるわけで、癖のないハンドリング、ゆったりと余裕のあるエンジンは当然必須のこととして押さえられているはずです。
また、静粛性とフラットなパワーを極めたエンジンは、実際に乗っていても回転しているのかどうかわからない程の完全なバランスといわれ、もしかするとこの辺りが日本車の品質とか信頼性が世界に広く知られていく原点になったのかもしれません。
いわば国産車の中の国産車、ある意味で日本車らしさの頂点と言えます。

▲ほぼ全てが日本語で表記される操作部。まさに働く自動車。なお、この個体は平成2年式なのでカセットデッキが装備されている
最初期のセンチュリーは、フロントサスペンションにダブルトレーリングアームのエアサスペンションを装備していました。その後、オーソドックスなダブルウイッシュボーンに変更されましたが、その他にも独創的で複雑な機構を多数採用していて、この辺りでもトヨタ一流の徹底的なコストカットの流れの外側に居ました。
前期型、後期型を通じて製造には溶接や塗装など熟練工の手作業に頼っている工程も多く、いわゆる「トヨタ車」とは違ったオルタナティヴな存在とも言えるかもしれません。
例えばクォーツ全盛のいまの時代にセイコーが「The Seiko」を作り続けているように、自動車メーカーとして(もちろんそれはセンチュリーが実際に必要な車種であるからという理由によるものですが)「技術の継承」という意味でも、最高級車を作り続けることは大切なのだと思います。

▲シンプルなメーター。すべてがFL表示のデジタルという辺りに時代を感じる
後期型センチュリーは2017年で生産を終了しました。記事を執筆している時点で、センチュリーは造られていません。しかし、まもなく第三世代のセンチュリーがデビューすることは間違いありません。
最後に、トヨタ・センチュリーとは
国産乗用車を象徴するセンチュリー。価格ではいま一部レクサスの方が高くなっていますが、それでも最高級セダンとして唯一無二の不動の地位に居ることは間違いありません。これまでも、これからも、最高級であり続けることでしょう。
[ライター/外車王編集部]