2025年02月25日

事業用車輌の売却時の仕訳・勘定科目についてわかりやすく解説!

車輌を売却するときの仕訳はどうすればよいのか。法人・個人の仕訳や勘定科目を解説 車輌を売却するときの帳簿での仕訳はどのようにするべきなのでしょうか。 ここでは、記帳するときの仕訳のポイントを解説します。また、法人・個人、税込・税抜など、さまざまな仕訳の具体例も紹介するため、帳簿に記帳する際の参考にしてみてください。

 


事業用車輌の売却時の仕訳・勘定科目についてわかりやすく解説!


事業用車輌を売却する際の仕訳のポイント


車輌を売却したときは、自分の会社でどのような記帳方法を採用しているのか確認しましょう。まずは、帳簿へ記帳する前に確認しておくポイントを解説します。


法人か個人事業主か


自分の会社が法人か個人か確認しましょう。法人の場合には、車輌を固定資産として扱うため、「車両運搬具」という勘定科目で仕訳をします。また、時間の経過と共に価値を償却していく「減価償却」の対象です。


減価償却は、購入価格を法定耐用年数で割って算出します。法定耐用年数は、普通乗用車が6年、軽自動車が4年です。例えば、300万円で普通乗用車を購入した場合、50万円(300万円÷6年)が1年間の減価償却費となります。


個人がクルマを売却する場合は、「事業主貸」または「事業主借」という勘定科目を使って仕訳をします。「事業主貸」とは、個人が事業主へお金を貸すという意味で、クルマの売却損が出たときに使います。一方「事業主借」は、個人が事業主からお金を借りるという意味があり、クルマの売却益が出た場合に使う勘定科目です。


記載方法は直接法か間接法か


記帳方法には、車輌の価格を減額させていく「直接法」と、車輌の価格はそのままに減価償却させていく「間接法」があります。どちらの方法を使っても問題ありませんが、記帳方法を統一しておかなければ、計算にズレが出てしまうため注意が必要です。


「税込」で記帳するか「税抜」で記帳するか


クルマの売買を記帳するときは、消費税を「税込」にするか「税抜」にするか悩むでしょう。どちらを採用しても問題ないものの、課税事業者の場合には消費税の納付や還付を受けることがあるため、「税抜」での記帳をおすすめします。なお、「車両運搬具」を税抜で記帳した場合、消費税を「仮受消費税」として「貸方」に仕訳をします。


発生したのは売却益か売却損か


クルマを売却したときは、帳簿に記載されている車輌価格よりも売却額が上回る「売却益」または、下回る「売却損」が発生します。売却益の場合と売却損の場合で勘定科目が異なるため、注意が必要です。



法人の場合、売却益が発生したときは「固定資産売却益」として記帳し、売却損が発生したときは「固定資産売却損」として記載します。



個人事業主の場合、売却益が発生したときは「事業主借」として記帳し、売却損が発生したときは「事業主貸」として計上します。


なお、売却益が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として課税対象となります。しかし、最大50万円までの特別控除制度が設けられています。


譲渡所得の計算式は以下の通りです。


譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(50万円まで)=課税対象譲渡所得


取得費は、当初の購入価格から減価償却費累計額を差し引いた金額です。また、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡」とみなされ、算出された譲渡所得の半分のみが課税対象となります。


注意点として、この特別控除は年間の譲渡全体で50万円が上限です。たとえば、1年内に車輌以外の複数の資産を売却しても、控除額は合計で50万円までです。売却益が50万円を超えた場合、超過分は他の所得と合算され、総所得に応じた税率で課税されます。


法人の場合の仕訳


法人がクルマを売却をした場合の直接法・間接法の記帳方法と、それぞれの税込・税抜の仕訳方法を見ていきましょう。なお、ここでは売却損が発生した場合を想定して計算しています。


直接法


直接法は、車輌価格から減価償却費を減じた額を記帳する方法です。法人の場合には、車輌を固定資産として扱うため、購入価格を耐用年数で割った減価償却費を経費として計上します。


税込


直接法・税込で記帳している法人が、クルマを売却したときの仕訳は次の通りです。


【条件:3年後に車輌を売却】
・車輌購入価格:普通乗用車150万円(税込・リサイクル預託金別)
・売却額:57万円(税込・リサイクル預託金込)
・減価償却費:75万円(税込)
・リサイクル預託金:2万円
・消費税:10%













借方貸方

現預金:57万円
固定資産売却損:20万円
合計:77万円


車両運搬具:75万円
預託金:2万円
合計:77万円

税抜


直接法・税抜で記帳している法人が、クルマを売却したときの仕訳は次の通りです。


【条件:3年後に車輌を売却】
・車輌購入価格:普通乗用車150万円(税込・リサイクル預託金別)
・売却額:57万円(税込・リサイクル預託金込)
・減価償却費:75万円(税込)
・リサイクル預託金:2万円
・消費税:10%













借方貸方
現預金:57万円
固定資産売却損:17万5,000円
合計:74万5,000円
車両運搬具:67万5,000円
仮受消費税:5万円
預託金:2万円
合計:74万5,000円

間接法


間接法は、車輌の価格をそのまま帳簿に残して減価償却させていく方法です。そのため、減価償却累計額を記帳します。


税込


間接法・税込で記帳している法人が、クルマを売却したときの仕訳は次の通りです。


【条件:3年後に車輌を売却】
・車輌購入価格:普通乗用車150万円(税込・リサイクル預託金別)
・売却額:57万円(税込・リサイクル預託金込)
・減価償却費:75万円(税込)
・リサイクル預託金:2万円
・消費税:10%













借方貸方
現預金:57万円
減価償却累計額:75万円
固定資産売却損:20万円
合計:152万円
車両運搬具:150万円
預託金:2万円
合計:152万円

税抜


間接法・税抜で記帳している法人が、クルマを売却したときの仕訳は次の通りです。


【条件:3年後に車輌を売却】
・車輌購入価格:普通乗用車150万円(税込・リサイクル預託金別)
・売却額:57万円(税込・リサイクル預託金込)
・減価償却費:75万円(税込)
・リサイクル預託金:2万円
・消費税:10%













借方貸方
現預金:57万円
減価償却累計額:67万5,000円
固定資産売却損:17万5,000円
合計:142万円
車両運搬具:135万円
仮受消費税:5万円
預託金:2万円
合計:142万円

個人事業主の場合の仕訳


個人事業主の場合の仕訳


個人事業主がクルマを売却をした場合の直接法・間接法の記帳方法と、それぞれの税込・税抜の仕訳方法を見ていきましょう。なお、ここでは売却損が発生した場合を想定して計算しています。


直接法


直接法は、車輌価格から減価償却費を減じた額を記帳する方法です。個人事業主の場合、車輌の売却損が発生すると「事業主貸」という勘定科目になります。


税込


直接法・税込で記帳している個人事業主が、クルマを売却したときの仕訳は次の通りです。


【条件:3年後に車輌を売却】
・車輌購入価格:普通乗用車150万円(税込・リサイクル預託金別)
・売却額:57万円(税込・リサイクル預託金込)
・減価償却費:75万円(税込)
・リサイクル預託金:2万円
・消費税:10%













借方貸方
現預金:57万円
事業主費:20万円
合計:77万円
車両運搬具:75万円
預託金:2万円
合計:77万円

税抜


直接法・税抜で記帳している個人事業主が、クルマを売却したときの仕訳は次の通りです。


【条件:3年後に車輌を売却】
・車輌購入価格:普通乗用車150万円(税込・リサイクル預託金別)
・売却額:57万円(税込・リサイクル預託金込)
・減価償却費:75万円(税込)
・リサイクル預託金:2万円
・消費税:10%













借方貸方
現預金:57万円
事業主貸:17万5,000円
合計:74万5,000円
車両運搬具:67万5,000円
仮受消費税:5万円
預託金:2万円
合計:74万5,000円

間接法


間接法は、車輌の価格をそのまま帳簿に残して減価償却させていく方法です。そのため、減価償却累計額を記帳します。


税込


間接法・税込で記帳している個人事業主が、クルマを売却したときの仕訳は次の通りです。


【条件:3年後に車輌を売却】
・車輌購入価格:普通乗用車150万円(税込・リサイクル預託金別)
・売却額:57万円(税込・リサイクル預託金込)
・減価償却費:75万円(税込)
・リサイクル預託金:2万円
・消費税:10%













借方貸方
現預金:57万円
減価償却累計額:75万円
事業主貸:20万円
合計:152万円
車両運搬具:150万円
預託金:2万円
合計:152万円

税抜


間接法・税抜で記帳している個人事業主が、クルマを売却したときの仕訳は次の通りです。


【条件:3年後に車輌を売却】
・車輌購入価格:普通乗用車150万円(税込・リサイクル預託金別)
・売却額:57万円(税込・リサイクル預託金込)
・減価償却費:75万円(税込)
・リサイクル預託金:2万円
・消費税:10%













借方貸方
現預金:57万円
減価償却累計額:67万5,000円
事業主貸:17万5,000円
合計:142万円
車両運搬具:135万円
仮受消費税:5万円
預託金:2万円
合計:142万円

減価償却中にクルマを手放す際の仕訳


減価償却中にクルマを手放す際の仕訳


減価償却の期間中にクルマを手放すことは可能です。ただし、売却、廃車、乗り換えによって勘定科目が異なりますが、いずれも減価償却累計額で調整するという方法で記帳します。ここからは、減価償却の期間中にクルマを手放したときの仕訳について紹介します。


売却した場合


クルマを売却した場合には、「車両運搬具」、「現預金」、「売却損/売却益」、「減価償却累計額」で仕訳をします。耐用年数6年の乗用車を150万円で購入し、3年使用して50万円で売却した場合の仕訳は次の通りです。


・車両運搬具:150万円
・現預金:50万円
・減価償却累計額:75万円
・売却損:25万円


なお、事業用のクルマでも、一般的な買取業者への売却は可能です。多くの買取業者は事業用車輌の買取にも対応しており、個人所有のクルマと同様に査定・買取を行っています。


ただし、事業用車輌の場合は通常の車輌よりも走行距離が長い傾向があるため、査定価格に影響する可能性があります。また、事業用としての使用履歴が車輌のコンディションに影響している場合もありますが、定期的にメンテナンスされていれば高評価につながるケースも少なくありません。


売却時には車検証や自動車税納税証明書などに加え、印鑑証明書や委任状などの書類が必要です。事前に必要書類を確認し準備しておくと、スムーズに売却を進められます。また、複数の買取業者から査定を受けることで、よりよい条件でクルマを売却できるでしょう。


▼関連記事はこちら
クルマを売却するときに必要な書類とは?クルマの種類によって準備する書類が違うので注意


廃車にした場合


廃車にした場合は、「車両運搬具」、「廃車損」、「減価償却累計額」で仕訳をします。耐用年数6年の乗用車を150万円で購入し、3年使用して廃車にした場合の仕訳は次の通りです。


・車両運搬具:150万円
・廃車損:75万円
・減価償却累計額:75万円


乗り換えた場合


乗り換えた場合は、今まで乗っていたクルマと次のクルマに分けて仕訳します。耐用年数6年の乗用車を150万円で購入し、3年使用して50万円で売却し、新しいクルマを240万円で購入した場合の仕訳は次の通りです。


【今までの車】
・車両運搬具:150万円
・現預金:50万円
・減価償却累計額:75万円
・売却損:25万円


【新しい車】
・車両運搬具:240万円
・減価償却累計額:40万円


リサイクル預託金の仕訳も忘れずに


クルマを購入したときに支払う「リサイクル預託金」は、「有価証券」という扱いになるため、購入時も売却時も消費税が課されません。そのため「預託金」という勘定科目で仕訳されます。


ただし、リサイクル預託金の「資金管理料」は、支出の扱いになるため、廃車をする時に消費税が課税されます。廃車するときには、リサイクル預託金の資金管理料の消費税の扱いに気を付けましょう。


まとめ


事業用車輌の売却時には、法人か個人事業主か、直接法か間接法か、税込記帳か税抜記帳かなど、会計方針に合わせて適切な仕訳を実施しなければなりません。法人の場合は「車両運搬具」と「固定資産売却損益」、個人事業主の場合は「事業主貸借」を用います。


また減価償却中の車輌売却では、減価償却累計額での調整が重要です。売却以外に廃車や乗り換えのケースでも適切な勘定科目を選択し、リサイクル預託金の処理も忘れずに行いましょう。

外車王編集部

執筆者: 外車王編集部


輸入車において総合的にサービス展開する外車王の知見を活かし、中古車の購入やお乗り換え、売却に関わる様々なノウハウをプロの視点でお届けしています。

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