2025年02月27日

【ガソリンの種類】レギュラー・ハイオク・軽油の見分け方を解説

給油は、クルマを運転するうえで避けては通れない作業です。最近は、セルフのガソリンスタンドが増えているため、燃料について正しい知識を身に付けることが求められています。 ここでは、レギュラー、ハイオク、軽油のそれぞれの違いと見分け方を解説します。また、間違って給油した際に起こり得るトラブルや対応法についても紹介するため、参考にしてみてください。

【ガソリンの種類】レギュラー・ハイオク・軽油の見分け方を解説


レギュラー・ハイオク・軽油の違い・見分け方


クルマの燃料の種類は、レギュラー、ハイオク、軽油の3つです。ここでは、それぞれの特徴や違いについて解説します。


レギュラー


レギュラーは最も多くのクルマに使われている燃料です。JIS規格では、オクタン価が89以上のものをレギュラーとしています。しかし、実際に売られているレギュラーはオクタン価が90の場合がほとんどです。なお、オクタン価はノッキング現象(エンジンの異常燃焼の1つ)の起こりにくさを表す指標です。


常温で蒸発しやすく危険性が高いため、灯油との見分けがつきやすいようにオレンジ系の色に着色されています。


ハイオク


ハイオクはJIS規格でオクタン価が96以上のガソリンです。一般的には、欧州車やスポーツカーなどに使用されています。また、日本で販売されているハイオクのオクタン価は98~100です。ただし、燃料価格はレギュラーに比べて10円程度高くなります。


なお、レギュラーと同様に灯油との見分けがつきやすいようにオレンジ系の色に着色されています。


軽油


軽油は、バス・トラックに広く使用されている燃料です。最大の特徴は、レギュラー、ハイオクと比べて燃料価格が安いことでしょう。たとえば、レギュラーと比較した場合、1Lあたり20~30円程度安い傾向にあります。また、ディーゼルには、ガソリンに比べて高温・高圧でよく燃えるという特性があります。そのため、熱効率が高く、低回転から太いトルクを出すことができるのです。


なお、レギュラー、ハイオクと違って、無色透明から薄黄色に着色されています。


クルマによって燃料が異なる理由


クルマによって燃料が異なる理由は、搭載されるエンジンの構造が異なるからです。たとえば、軽油を使用するディーゼルエンジンは自己着火により燃料を燃焼させますが、ガソリンエンジンは混合気にスパークプラグが火花を飛ばすことで燃料を燃焼させています。また、ガソリンエンジンのレギュラー仕様とハイオク仕様でもコンピューターのマッピングや点火時期が異なります。


どの燃料を使用するか調べる方法


燃料の種類が理解できたら、次はクルマにどの燃料を使用するかを確認しましょう。ここでは、使用燃料を調べる方法を3つ紹介します。


メーカーのホームページを確認する


クルマの使用燃料はメーカーのホームページで確認できる場合があります。ホームページ内にあるカタログに、エンジンのスペックなどが書かれた主要諸元表が掲載されています。主要諸元表のエンジンスペックの少し下に記載されている使用燃料を確認しましょう。グレードによって燃料の種類が異なるため注意してください。


ディーラーに確認する


ホームページで見つけられなかったり、そもそもカタログがなかったりする場合は、ディーラーに直接確認しましょう。グレードがわからない場合は、トランクやバックドアに貼られたエンブレムで確認してください。それでも不明な場合は、クルマの特徴をディーラーに伝えましょう。


車検証を確認する


車検証で燃料の種類を確認できます。車検証には、「燃料の種類」と記載された箇所があり、ガソリンもしくは軽油のどちらかが記載されています。ただし、ガソリンのレギュラー、ハイオクについては車検証に記載がないため、メーカーのホームページや取扱説明書で確認しましょう。


間違って給油した場合に起こり得るトラブル


間違って給油した場合に起こり得るトラブル


燃料を間違って給油すると、複数のトラブルが起こる恐れがあります。具体的なトラブルの内容について確認しておきましょう。


燃費の低下


ハイオク指定車にレギュラーを給油した場合


ハイオク指定のクルマにレギュラーを入れると、エンジン制御コンピューターが自動的に対応しようとしますが、その過程で燃焼効率が低下します。具体的には、低いオクタン価に対応するため、エンジンコンピューターが燃料噴射のタイミングを遅らせることで、結果的に燃焼効率が落ち、同じ距離を走るのにより多くの燃料を消費するのです。また、パワー不足を感じたドライバーが無意識にアクセルを踏み込み、さらに燃費が悪化するという悪循環に陥る可能性もあります。



レギュラー指定車にハイオクを給油した場合


レギュラー指定のクルマにハイオクを入れても、劇的な燃費悪化は起きにくいです。ただし、レギュラー用に設計されたエンジンはハイオクの特性を十分に活かせないため、燃料の持つエネルギーを効率よく使えず、わずかに燃費が低下することがあります。また、性能向上を期待してハイオクを継続使用しても、燃費改善効果はほとんど見られず、リッターあたり10〜15円高い燃料代を余計に支払うことになります。


ノッキングの発生


ノッキングとは、シリンダー内で通常の火花点火に加えて、高温・高圧になった混合気が自然発火してしまう異常燃焼現象です。これが起きるとエンジンから「カラカラ」「カリカリ」といった異音が発生し、車体に振動が生じます。また、エンジン内部の温度が急上昇し、ピストンやシリンダーに過度な負荷がかかります。


ハイオク指定車の多くは高圧縮比エンジンを採用しており、レギュラーのガソリンを入れるとノッキングが発生しやすくなります。高圧縮比エンジンはシリンダー内の圧力と温度が高くなるため、オクタン価の低いレギュラーでは自然発火しやすいのが特徴です。なかでも、過給器付きエンジン(ターボやスーパーチャージャー装着車)では、圧縮比に加えて過給圧による負荷もあるため、不適切な燃料ではノッキングのリスクがさらに高まります。


近年発売されているクルマでは、ノッキングセンサーがこの現象を検知して制御系が対応しますが、それは本来の性能を犠牲にした「緊急対応」であり、継続的な使用は推奨されません。


エンジンの故障


最も深刻なトラブルは、誤給油によるエンジン故障です。特にガソリン車と軽油(ディーゼル)車の燃料を取り違えた場合、重大な損傷を引き起こす可能性があります。


ディーゼル車にガソリンを給油した場合


ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと根本的に異なる仕組みで動作しています。ガソリンを入れた際、初期症状としてよく見られるのが白い排気ガスの発生や著しい出力低下です。また、軽油には潤滑性能がありますが、ガソリンには潤滑性がないため、高圧燃料ポンプやインジェクターが焼き付きを起こします。さらに深刻なケースでは、燃料噴射ノズルや高圧燃料ポンプが破損し、最悪の場合エンジン本体を交換しなければなりません。交換費用は数十万円から場合によっては100万円を超えるケースもあります。


ガソリン車に軽油を給油した場合


ガソリン車に軽油を入れた場合、ディーゼル車へのガソリン給油ほど深刻な問題は発生しないものの、エンジンが一部故障することがあります。


初期症状として起こりやすいのは、黒い排気ガスの発生や加速不良です。さらに、スパークプラグの電極に軽油が付着して正常な火花が飛ばなくなったり、燃料噴射システムが詰まったりする可能性もあります。不完全燃焼の排気ガスにより、触媒コンバーターなどの排気浄化装置が損傷するケースも少なくありません。


間違って給油したときの対処法


万が一燃料を入れ間違ってしまった場合は、間違って給油してしまった燃料をタンクから全部抜き、正しい燃料を入れ直しましょう。ただし、ハイオクとレギュラーの入れ間違いに関しては、走行には大きな支障がないため、燃料を入れ替えないケースがほとんどです。一方で、ディーゼルエンジンにガソリンを入れてしまった場合は、燃料の入れ替えに加え、整備工場での点検と故障が疑われる部分の部品交換が必要になります。また、走行ができなくなるため、ディーラーなどに連絡して引き取りにきてもらう必要があります。


ガソリンエンジンに軽油を入れてしまった場合も走行ができなくなりますが、多くの場合はガソリンスタンドで燃料の入れ替えを行うことで走行が可能になり、不具合も解消されます。


まとめ


クルマの燃料の種類は、レギュラー、ハイオク、軽油の3つです。レギュラーとハイオクはオレンジ系の色、軽油は無色透明〜薄黄色で区別できます。燃料の違いはエンジン構造に起因し、適切な燃料はメーカーホームページ、ディーラー、車検証で確認可能です。


誤給油はトラブルの原因となり、特にディーゼル車へのガソリン給油は高圧燃料ポンプやインジェクターの焼き付きなど深刻な故障を招きます。ハイオク指定車へのレギュラー給油は燃費低下やノッキングの原因になりかねません。万が一誤給油した際にはは燃料の入れ替えが必要で、ディーゼルとガソリンの取り違えは専門業者による修理が必要です。正しい燃料知識で安全なカーライフを送りましょう。

外車王編集部

執筆者: 外車王編集部


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