「Sport Leicht (シュポルト・ライヒト)」の頭文字に由来する「SL」は、1954年にニューヨークで開催された国際オートショーで、「300SLクーペ(W198)」として登場します。1952年のル・マン24時間耐久レースでワンツーフィニッシュを果たした「300SL(W194)」の市販バージョンであり、特徴であるガルウイングも継承されています。
7代目となる現行の「SL」は、2022年にメルセデスベンツのスポーツカー専門ブランドである「メルセデスAMG」から販売が開始されました。ルーフは、従来型の金属製の「バリオルーフ」に代えて、電動ソフトトップを採用します。これによって、21kgの軽量化と低重心を実現し、優れたハンドリング性能も手に入れています。
搭載されるエンジンは、2L・直列4気筒ターボエンジン(M139型)で、最高出力381ps/最大トルク480N・mを発生します。先代に比べて、排気量は大幅に縮小されますが、量産車として世界初となる「エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャー」が採用されたため、自然吸気エンジンのようなレスポンスを実現しています。このレスポンスは数値にも現れており、0-100km/h加速4.9秒、最高速275km/hと、十分すぎるくらいの動力性能です。
組み合わされるトランスミッションは、トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを使う9段ATの「AMGスピードシフトMCT」です。ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を両立したこのトランスミッションは、「SL」のスポーツ性能をさらに引き上げています。