シトロエンDSは、1955年から1975年までの約20年間、改良を繰り返しながら合計で、約145万5,000台が製造されたシトロエンの主軸を担うモデルです。ボディは全長4.81m、全幅1.8m、全高1.47mという、1950年代中期のヨーロッパ車としては異例の大型で、先端は低く尖ったグリルレス・スタイルで、半埋め込みのヘッドライトとともに空気抵抗を抑制し、「宇宙船」とまで評された当時としては先進的で前衛的な空力デザインと、油圧動力によるエア・サスペンション機構を中心とする「ハイドロニューマチック・システム」を搭載した特異なメカニズム構成で知られています。また、乗り心地と操縦安定性を高水準なものとし、エンジンは1.9L・OHVのロングストローク型直列4気筒で、1960年代中期に新しいショートストローク型に置き換えられ、排気量も2L~2.3Lに拡大されたが、OHV直列4気筒のレイアウトは踏襲されました。また、インテリアではダッシュボードにが連続した曲面デザインを用いていて、特徴的な1本スポーク支持のステアリングともどもモダンな印象となっていました。